兵庫県尼崎市保健所の幹部が性的少数者(LGBT)の30代男性職員に、公務中のカミングアウトを控えるよう指導した問題で、幹部が借金や病気を例に挙げながらLGBTであることを「私的な悩み」と表現していたことが分かった。男性は「性的指向は悩みではない」と訴え、悲観的に捉えられるのはおかしいと反論。複数の関係者の証言から、2人のかみ合わないやりとりをたどった。
◆たどり続けた平行線
問題のきっかけは、市内の動物愛護団体が男性への苦情を文書で幹部宛てに送り、「(男性から)性的指向を打ち明けられ、困惑している人がいる」と直訴したこと。幹部は2019年12月、「事実確認する」と男性と面談し、男性の上司2人も同席した。男性は事前に「性的指向をつつかれると思うから気を付けて」と同僚に言われたという。
カミングアウトの話に及ぶと、幹部はまず、団体側の言い分を代弁した。
「『バイセクシュアル(両性愛者)だと言われても、どう受け止めていいか分からないから聞きたくなかった』ということ」
男性はこの団体と業務で接点があり、カミングアウトについて一つ心当たりがあった。
幹部に直訴した団体の女性に「彼女は?」「結婚は?」と何度も聞かれ、話を終わらせたくてバイセクシュアルだと答えたことがあった。「(セックスを)男同士ってどうやってやるの?」とも質問された。
男性は幹部に当時の状況を説明した。「むしろ、興味を持っているように見えた。困惑していたとは思えない」。しかし、議論は堂々巡りになった。
◆「性的指向は悩みでない」
幹部は市民に「私的な話」をしたことを問題視。「性的マイノリティーへの理解は市民全員に浸透していない」とし、「仕事以外の発言は慎むべきだ。言葉を選ぶことを勉強してほしい」と男性に求めた。
そして「誰にでも悩みはある」と前置きをし、こう言った。
「例えば、もし私が重病でも借金があっても、相手が心配になるようなことは聞かれても言わない」
男性は「私は悩んでいない」「偏見ではないのか」と反論した。すると、幹部は「それぞれの立場で好きな人を選ぶのはいい」としつつ、こう続けた。「自分が性的マイノリティーだということは、私の中では言わないことに入る」
◆言う、言わない「公務員だから」
幹部は「それが私の公務員としてのポリシー」と重ねて強調した。しかし、男性はうなずかなかった。団体メンバーに性的指向を話したことを認めつつ、職場でもあえて隠してこなかったとして考えを伝えた。
「公務員だからこそ、差別的な言動には毅然(きぜん)としないといけないんじゃないですか。恥ずかしいことではないと示すべきではないですか」
そして男性は面談前日、自宅のキッチンに立ってパートナーを待ちながら湧いてきた感情を振り返った。
「LGBTってそんなに惨めな思いをしないといけないんですか。誰かに迷惑をかけていますか」
幹部は再び自身の公務員像を語り、言った。
「整理がついていないから、今は謝ることはできない」
面談はかみ合わないまま終わり、男性はこの3カ月後、依願退職した。
幹部は取材に「公務員としての私の立場を伝えたが、今思えば言葉が足りなかったと思う」と話した。
(大田将之、竹本拓也)
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