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「交流広場パッソ」に設置された分身ロボット「オリヒメ」=神戸市兵庫区羽坂通4
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「交流広場パッソ」に設置された分身ロボット「オリヒメ」=神戸市兵庫区羽坂通4
「オリヒメ」の操作画面。内蔵カメラの映像が映し出される
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「オリヒメ」の操作画面。内蔵カメラの映像が映し出される

 神戸市は2021年12月から、ひきこもりの人らに、遠隔操作の分身ロボットを使って外の世界との交流を「お試し」してもらう取り組みを始めた。ひきこもりがちな人たちが集まる「居場所」に、まずは分身で参加してもらい、不安や戸惑いを薄めてもらう。(長谷部崇)

 分身ロボットは、東京の企業が開発した「オリヒメ」(高さ23センチ、重さ660グラム)。離れた場所にいる操作者は、ロボットの内蔵カメラやマイクを通じてその場の様子を知ることができ、音声に加えて身ぶり手ぶりでも意思表示できる。

 オリヒメを使って参加をお試しできる居場所の一つは、「交流広場パッソ」(同市兵庫区羽坂通4)。ビル3階にソファや石油ストーブが置かれ、卓球台やマージャン卓、冷蔵庫、ギター、ゲーム機、漫画まである。何をして過ごしてもよく、その場にいる人とお茶を飲むのも、一人で漫画を読みふけるのも自由。時には一緒に作った鍋をつつき合う。

 だが、「ひきこもりの人が、外の世界に一歩を踏み出すのはかなりハードルが高い」と市ひきこもり支援室の松原雅子室長。同支援室では2021年10月末時点で、継続的な相談に乗る人が243人に上る。居場所の利用に向けて、まずはオリヒメによる「お試し」を勧めていく。

 オリヒメは全国で約600台稼働しているが、企業がテレワークで使うケースが大半で、ひきこもり支援は例がないという。パッソに参加する同市須磨区の20代男性は「僕も最初来たときは全く話せなかった。『話の合いそうな人がいるな』とか『ゲームで遊べるな』とか、画面越しでも場の雰囲気を感じてもらえれば訪れやすくなると思う」と話した。

■兵庫県はオンライン参加の「電子居場所」

 兵庫県も20年8月から、ひきこもりの人に社会とのつながりを持ってもらおうと、オンラインで参加できる「電子居場所」の取り組みを進めている。20年度は延べ166回開かれ、371人が利用した。21年度は、姫路市や西宮市などのNPO法人や企業が七つの広場を運営している。

 姫路市のNPO法人「コムサロン21」は月1回、ビデオ会議システムを使って開催。趣味の話題やオンラインゲームなどで交流する。音声のみで参加する人が多いが、11月は雨音やたき火の音、タイピングの音などを延々と流す「ASMR(自律感覚絶頂反応)」の動画の話題で盛り上がったという。

 同法人の谷口慎一郎副理事長は「ひきこもりの人たちにとって、緩やかにつながる場所があることには意味がある」と話した。

■「四つの段階」を一段ずつ

 厚生労働省が2010年に公表したガイドラインによると、ひきこもり支援は四つの段階を一段ずつ上ることが必要とされる。

 第1段階は主に家族に対する支援。本人への接し方に悩む家族は多く、神戸市ひきこもり支援室が21年4~10月に受け付けた相談者も親(52%)が本人(32%)より多かった。あいさつや声掛けを通じ、まず家庭内で会話できる関係をつくるのが支援の第一歩という。

 第2段階で本人の支援に移行する。ひきこもりの人は夜型の生活を送っているケースが多く、生活リズムを昼型に戻し、家の中で皿洗いや風呂掃除など自分の役割を持たせる。

 続く第3段階は家の外に出てひきこもりの人が集まる場などに参加し、家族以外の人たちとも交流する。神戸市が分身ロボット「オリヒメ」の使用を想定しているのはこの段階の一歩手前の人たちだ。最後の第4段階では仕事に就けるよう支援し、社会復帰を目指す。

 20年2月に開設された神戸市ひきこもり支援室では、本人面談を続けてきた人のうち、これまでに計21人が就職までたどり着いた。ただ、順調に段階を踏んで就職できた人もいれば、後退してまた引きこもってしまう人もおり、同室は「それぞれの事情に合わせた息の長い支援が必要」としている。

 国の調査で人口に占めるひきこもりの人の割合は15~39歳で0・51%、40~64歳で0・87%と推計され、神戸市の人口に換算すると市内で約6600人。兵庫県全体では約2万3千人になる。

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