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午後5時になると、自動的に留守番電話に切り替わる神戸鈴蘭台高校の電話=神戸市北区山田町下谷上
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午後5時になると、自動的に留守番電話に切り替わる神戸鈴蘭台高校の電話=神戸市北区山田町下谷上

 「ただいまの時間は、留守番電話での応対とさせていただいています」-。夜間、兵庫県立高校に電話をかけると、そんな音声が流れる。働き方改革の一環で3年前、教職員の勤務時間外の電話対応には自動アナウンスを流すようになったためだ。一方で、夜間も教員が対応する公立小中学校もあり、留守電導入で働き方改革は進んだのだろうか?(金 慶順)

 神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に、県西部の高校に勤める30代男性教諭から声が寄せられた。「留守電導入で夕方以降の電話に出なくていいため、早く帰宅できるようになった」。部活の指導後、職員室で翌日の授業の準備をする際なども電話対応で中断することがなくなったという。

 一方で、公立小中学校に勤める知人らに男性が尋ねると、留守電を導入していない学校もあったという。「学校にいる限り夜でも電話が鳴れば出なければならない」と男性。「一律に留守電を導入してこそ保護者の理解も得やすいはず」と訴える。

 県教育委員会は2019年度、全ての県立学校に留守番電話を導入した。録音型と自動アナウンスを流すだけの2種類から選べ、切り替えるタイミングも「教職員の勤務時間」「生徒の登下校時間」など、各校が事情に応じて決めている。

 県立神戸鈴蘭台高校(神戸市北区)では午後5時になると、自動的に録音型の留守番電話に切り替わる。解除は翌朝の午前8時だ。出勤してきた職員が録音データを確認すると、朝方に保護者から生徒の欠席連絡が入っていることが多く、担任に伝えるという。

 県教委教職員課によると、導入後、大きなトラブルはなく、苦情も寄せられていないといい、県内の市町教委にも導入を推奨。21年度は、神戸市を除く40市町のうち、23市町が留守電を全校で導入、2市町が検討中という。導入していない市町の中には、学校の判断で電話対応時間を決めて保護者に通知したり、休日は市役所内などに統一の相談電話窓口を設けたりするケースもある。

 神戸市教委は20年1月、市教委名で全校の保護者へ、夜間の電話を音声アナウンス対応に切り替える旨を文書で通知。全校に留守電設備を導入したが、実際に運用しているのは全小中学校の7割ほどという。

 同市教委の担当者は「地域性のほか、『校区が広くて通学時間が長い』『ほとんど電話がかかってこない』など学校ごとの事情で留守電の開始時間を遅くしたり、設定しなかったりするケースがある」と説明する。

 導入していない別の市教委は、夕方以降の電話対応を負担に感じる声はあるとしながらも、「留守電の導入には大がかりな配線工事が必要で、全校一斉に取り入れるには予算面の課題がある」とする。

 スクープラボに意見を寄せた男性教諭は「勤める学校によって電話対応が違っては働き方改革が進まない」としている。

■業務支援員の雇用、閉庁日設定… 「子どもと向き合う時間増やす」

 文部科学省は2019年1月、公立学校教員の勤務時間の上限に関する指針を示し、1カ月の残業時間を原則45時間以内とした。兵庫県教育委員会は、19年度に留守電を導入しただけでなく、教員をサポートする業務支援員の雇用、学校閉庁日の設定など、教員の働き方改革を進めている。

 神戸市教委も20年1月、市立小中学校の業務見直し方針を策定した。夜間電話対応の切り替えに加え、成績通知表「所見欄」の頻度、分量を簡素化▽家庭訪問は基本的に希望する家庭のみ-などとしている。

 市教委学校経営支援課は「個性に合わせたきめ細かい指導が求められる時代。一連の業務見直しは、子どもにゆっくり向き合う時間を増やし、教育の質を高めるために進めている」としている。(金 慶順、鈴木久仁子)

     ◇

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