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みうらじゅんさんが亡くなる直前に走馬灯のように見るであろう光景を描いた「コロナ画」シリーズ。幼少期の自画像も描かれている=アサヒビール大山崎山荘美術館
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みうらじゅんさんが亡くなる直前に走馬灯のように見るであろう光景を描いた「コロナ画」シリーズ。幼少期の自画像も描かれている=アサヒビール大山崎山荘美術館
マイ遺品への思い入れを語るみうらじゅんさん=2021年12月18日、京都府大山崎町、大山崎ふるさとセンター
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マイ遺品への思い入れを語るみうらじゅんさん=2021年12月18日、京都府大山崎町、大山崎ふるさとセンター
いやげ物などの展示品が並ぶ空間。洋館の雰囲気にも「しっくりくる」とみうらさんは語る=アサヒビール大山崎山荘美術館
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いやげ物などの展示品が並ぶ空間。洋館の雰囲気にも「しっくりくる」とみうらさんは語る=アサヒビール大山崎山荘美術館
菊人形もマイブームになった=アサヒビール大山崎山荘美術館
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菊人形もマイブームになった=アサヒビール大山崎山荘美術館
交通安全を呼び掛ける看板「飛び出し坊や」もコレクションの一つ。みうらじゅんさんをイメージした看板がお目見えした(作・久田工芸)
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交通安全を呼び掛ける看板「飛び出し坊や」もコレクションの一つ。みうらじゅんさんをイメージした看板がお目見えした(作・久田工芸)

 なぜこんな物を大量に…。滑稽で味わい深い。じわじわと笑いがこみ上げる。集めたのは「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親だ。愛する品々を飾る「みうらじゅん マイ遺品展」が、京都府大山崎町のアサヒビール大山崎山荘美術館で開かれている。小学生時代からのマイブームなどを振り返る展示品約60件が大集合。ユーモアを交えて「自分の価値観を信じるしかない」というメッセージも感じさせる。(小林伸哉)

 生前から「マイ遺品」とは物騒だ。会場のみうらさんの顔写真は、黒いリボンがかかって遺影のよう。「生きていますので。まだ生きています…」。本人は収録映像でおどけてみせる。

 「マイ遺品」とは、膨大な収集品や創作物が、今後もたまり続けることへの「言い訳として考えついたネーミング」なんだとか。

 みうらさんは1958年生まれで京都市出身。武蔵野美術大在学中の80年に雑誌「ガロ」でデビュー。漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどとして活躍する。

 猛烈な収集と創作への熱情は小学生時代に芽生えた。小1で「怪獣」がマイブームに。大掃除で掲載雑誌が捨てられないよう、写真や記事をスクラップし、絵や文章を添えた。「自分の作品にすれば、親も手を出せなくなると気づいた。『ぐっと』きたものをいかして残したかった」という。

 「毎日、締め切りを作って。気持ちはいつも自称『編集長』だったので忙しかった」。小4からの仏像ブームで仕上げたスクラップ帳のほか、自作のエッセーや漫画も会場に並ぶ。

 保存場所には苦労したけれど「ぐっと我慢して、いつか、これが良い味出るまで待とう」と残して、マイ遺品は増え続けてきた。

 「哀愁のある物にビビッとくる」といい「買ってから好きになる活動」もある。もらう側が嫌がるような土産物「いやげ物」では、姫路城やポートタワーをかたどった金色のプラスチック置物も登場する。送られて困るような絵はがき「カスハガ」には、なぜか公衆トイレなどの風景が並ぶ。

 「冷マ」は水道工事業者などの宣伝用マグネットで、冷蔵庫にびっしり貼られ、カラフルな現代アートのようにも見える。般若心経や菊人形、ゴム製ヘビ、英語が載った紙袋もマイブームに。「なんでなん…」と笑いながら、ツッコミ続ける観賞体験が待っている。

 3月6日まで。月曜休館(月曜が祝日なら開館し、翌日休館)。一般900円ほか。アサヒビール大山崎山荘美術館TEL075・957・3123

■100年後「ニュー柳田国男」みたいな先生が評価してくれるかも

 「物をどうやったら残せるか」をずっと考えてきたんですよねえ。みんなが断捨離すると、文化財は残らなくなる。でも「これは残しておくべき」と思った人がいる。仏像でいうと、フェノロサ。廃仏毀釈があった明治時代、奈良の聖林寺の十一面観音などを守ろうとした。おかげで今も仏像を見られる。

 「仮説ブーム」が来てて一人で仮説を立て、気持ちよくなっている。例えば、千手観音は「樹木の精霊を模した」という仮説。木から飛び出した形が仏像で、木自体が仏像じゃないか-と当時の人は捉えたのでは。葉が落ちるとか、自然の摂理を表してるんだよね。

 そうやって、仮説を立てて物を集めてきたんです。初期型のウルトラマンは口角が上がっている。小4で仏像ブームが来て「これはアルカイックスマイルだ。広隆寺の弥勒菩薩からデザインされた」と気づいた。友だちに話しても、相手にされなかったけど…。

 「いやげ物」も、決してほしいわけじゃないんだ。でも、誰かが残さないと、残らないから、フェノロサの気分で「残すべきだ」と思って買っている。

 100年後にニュー柳田国男(民俗学者)みたいな先生が「すごい貴重な物だ」と評価して、価値観が裏返る瞬間が来るかもしれない。生きているうちに裏返ることもある。自分の価値観を信じるしかないんですよ。「ゆるキャラ」だって、急にマイナスからプラスの受け止め方へと転じた。

 価値観なんてころころ変わる。人を信用してはいけない。「人が決めた価値観はすべてだと思うな」ということ。今までの価値観を疑うことも必要でしょう。<2021年12月18日、京都府大山崎町内でのトークショーより抜粋>

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