阪神・淡路大震災を機に進んだ防災教育。東日本大震災や豪雨災害の教訓も踏まえ、新学習指導要領では各教科に防災の要素が盛り込まれた。だが内容は地域によって差があり“先進地”とされる兵庫ですら教職員や時間の不足を課題に挙げる学校も多い。防災教育学会事務局長で、兵庫県立大大学院減災復興政策研究科の森永速男教授(65)は、今春の退任を前に「防災教育は特別なものではなく、日常の延長線上にある」と強調する。(広畑千春)
1997年に副読本「しあわせはこぼう」を作り防災教育に取り組む神戸市。拠点校を中心に、被災者の講話や追悼行事にとどまらず、理科や生活の授業で水の流れる性質から水害を考えるなど、普段の教科の授業から災害について学ぶ工夫を凝らす。ある中学校長は「現場は既に阪神・淡路大震災を知らない世代ばかりだが、少しずつ身近な課題に引き込める教員も出てきた」と手応えを語る。
小学校では2020年度、中学校では21年度から新学習指導要領が全面実施となり、アクティブラーニングや「生きる力」の一環で防災教育が求められている。だがカリキュラムが過密化・複雑化し、「時間がない」「教員にノウハウがない」という課題が全国で顕在化。兵庫県教育委員会の20年度調査でも、中学高校と進むほどその傾向が強まった。現場では、地域の担い手の高齢化や行政の連携不足を指摘する声もある。
防災教育学会は20年に発足。新型コロナ禍が地域や学校間の連携にも影を落とす中、知恵の共有で「教える側の底上げ」を目指す。
神戸市の学校防災アドバイザーも務める森永教授は「根本は危機管理。歩きスマホの危険性を考えるのだって防災教育になる。教員の発想の転換と心持ちが重要」と話す。
◇ ◇
授業での防災教育を第1段階とすれば、第2段階は災害時のリーダーたり得る人材育成だ。
兵庫県立大は、防災の副専攻を創設した11年度から東日本大震災の被災地にボランティアを派遣。千人超が登録し、これまでに100人以上が宮城県南三陸町と福島県南相馬市に通う。
森永教授によると、最初は「助ける・手伝う」感覚だった学生が、絶望の淵から立ち上がり、前を向こうとする被災者の姿を見て「顔付きが変わった」。住民たちも学生を「お客」と捉えなくなったといい、「学者はどうしても助言者になりがち。よそ者で知識も浅い若者だからこそ、お互いに力を与え合う関係になれる」と指摘する。
県内でも、南あわじ市など各地の地域コミュニティーに県立大の学生が入り、避難経路や避難所運営についての提言などを行う。県立尼崎小田高校の「あまおだ減災フェス」では高校生が主役に。「自ら発案し認められる過程が、力と可能性を伸ばす」と実感する。
地球科学や考古学の観点から見れば、地球と人間の歴史は災害の歴史だ。水運が良く土が肥えた低地のように、豊かで暮らしやすい土地には何度災害に見舞われても人が集まってくる。「だからこそ過去を知り、現在の課題を理解し、被害を受けても立ち向かえる人材を育てる。防災教育とは、人づくりなんです」。森永教授は力を込めた。

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