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(C)2021,LETTERBOX FILMPRODUKTION,SÜDWESTRUNDFUNK
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 人間とアンドロイドとの恋は「ブレードランナー」(1982年)をはじめ数々の映画で描かれてきたが、ここまで繊細にヒトの内面に迫った作品があっただろうか。人工知能(AI)やアリゴリズム(問題を解決するための手段)が当たり前のように機能する現代だが、心とは何か、ヒトをロボットから分けるものは何かと哲学的な問いを発するところはさすが哲学の国、ドイツ映画。それでいてキュートな、上質のラブロマンスに仕上がった。

 ベルリンの博物館勤めのアルマ(マレン・エッゲルト)は研究費を稼ぐため、ある極秘実験に参加する。恋愛データを学習し、アルマのニーズにも応えられるようプログラミングされた高性能AI搭載アンドロイドのトム(ダン・スティーブンス)と3週間、暮らすのだ。トムのミッションはただ一つ、アルマを幸せにすること。

 目の前に現れた「理想の恋人」、トムは彼女の部屋をきれいに片付け、豪華な食事を用意する。ドイツ女性の93%がうっとりするトムの言動に当惑するアルマだが、それもデータとして取り込む。

 いったんは遠ざけたトムに安らぎを覚え始め、「あなたがいないと、ただの人生なの」とアルマ。紺碧の瞳で見つめ返し、「それを愛と呼ぶのでは?」と歯の浮くせりふのトム。映画の一場面を再現しようと、まじめな行きすぎもあって笑いを誘う。

 「好きな詩は?」と問うと、トムは「リルケ」と答え、その一節をすらすらとそらんじる。ヒトがヒトらしく存在するのは言葉があってこそ。何気ないやりとりに見えて、深い。記憶をなくしていくアルマの父の存在がこの問題を逆側から照射する。

 2人の恋の行方はいかに…? ラストもすがすがしい。

 1時間47分。シネ・リーブル神戸などで上映中。

(片岡達美)

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