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「テレビで会えない芸人」より((C)2021 鹿児島テレビ放送)
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「テレビで会えない芸人」より((C)2021 鹿児島テレビ放送)
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「テレビで会えない芸人」より((C)2021 鹿児島テレビ放送)

 日本国憲法を人間に見立てた「憲法くん」など、過激な政治、社会風刺でチケットはいつも完売という芸人・松元ヒロさん(69)。テレビ番組で人気を博した時期もあったが、すっぱり身を引いた。ドキュメンタリー映画「テレビで会えない芸人」(29日から、神戸・元町映画館で公開)は、出身地・鹿児島のテレビマンが松元さんに密着。彼がテレビに登場しない理由を解き明かし、自主規制が当たり前となったテレビのあり方に警鐘を鳴らす。(鈴木久仁子)

 「原発が、安全安全って言うならね、東京のど真ん中に持ってきたらいーんでね。そうでしょ」「安倍第3次内閣って、大惨事ですよ…」

 松元さんが年に120本開催する舞台「ひとり立ち」。しなやかで痛烈、規制のない話芸に、超満員の観客はどっと沸く。惜しみない拍手が送られる。

 鹿児島実業高校で駅伝に打ち込んだ松元さんは、大学時代、チャップリンにあこがれ芸の世界へ。コミックバンド「笑パーティー」を経て37歳の時、コント集団「ザ・ニュースペーパー」を立ち上げた。眉毛を伸ばした村山富市元首相などのものまねで大受け、テレビでも引っ張りだこだったが、46歳でソロに転じた。

 きっかけは、一人息子が父の出演する番組を「同じことばかり」と見なくなったこと。「面白いことをただ言うだけなら、自分じゃなくてもいい。もっとはっきり物を言いたい」と、軸足を舞台に移した。

 そんな松元さんに監督として張り付いたのは、鹿児島テレビの四元良隆さんと牧祐樹さん。「ヤクザと憲法」などで知られる東海テレビの阿武野勝彦さんがプロデューサーを務めた。

 妻のにぎり飯を頬張り、新聞をめくっては黙々と稽古に励む-。淡々とした日常と、キレのある舞台映像の合間合間に、ハッとする言葉が登場する。

 例えば冒頭、監督はカメラを回しながら「(番組で)使っていいところと悪いところってあると思います?」と尋ねる。「それを考えながらテレビに出るのが嫌なんです」と松元さん。世間の「空気」ばかり気にかけ、批判されないことを第一に自主規制をかける-。新聞を含め、今のメディアを象徴している。

 そんなやり取りをあえて残した点からも、現状に一番危機感を抱いているのが、この作品を手掛けたテレビマン自身だと分かる。最終盤、松元さんがカメラに向かい語り掛けるメッセージからは、「このままではいけない」という制作者の決意が伝わってくる。

 映画には、必見のネタ「憲法くん」も収録。改憲の動きに「リストラされるのでは」と不安を募らせ、観客に訴える。

 「どうして私を変えるんですか? 現実に合わない? だけど、変ですよね? 私って理想だったんじゃないんでしょうか…」

 ライブでしか見られない迫真の芸の一端に、スクリーンで触れることができる。

■初めて神戸に松元さんを呼んだ、神戸芝居カーニバル実行委員会事務局長・中島淳さんの話

 弱者を笑うのは不健康だが、権力者を笑う松元ヒロの芸は健康的。映画を見れば、なぜテレビで放映できないのかと、多くの人が思うはずだ。

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