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姫路城の背後に広がる姫路市街地
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姫路城の背後に広がる姫路市街地

■異質な雰囲気を醸し出す年配の男

 不良行為を繰り返し、犯罪にも手を染めるとされるグループ「半グレ」。世界遺産・国宝の姫路城がそびえ立つ兵庫県姫路市にも、警察に認定されていないものの、地元で有名な半グレ集団が存在した。その名は「武侠連合」。最初は夜な夜な集まるだけの不良集団だった。後に、重大な犯罪に関わるとは、少年たちもつゆほども思っていなかった。

 武侠連合ができたのは、2019年秋。姫路市内や西播磨地域などに住む16~18歳の少年ら10人程度で構成する。彼らは姫路市の市街地の外れにある建物をたまり場にしていた。普段は仲間内で飲食をする程度だった。

 ただ、その中心に一人、異質な雰囲気を醸し出す年配の男がいた。

■暴力団員らしい。それでも“オヤジ”は優しかった

 細身で中背、目つきの鋭い丸刈りの男。

 「(男が)ぼくらのために、たまり場をつくってくれた。オヤジのような存在」。後の刑事裁判で、結成メンバーの少年Aはそう証言した。

 “オヤジ”とは建設現場の仕事などで知り合った。当初はAら3人だけだったが、それぞれが友人を誘うことで出入りする少年は増えた。

 男が暴力団員らしいというのもほぼ全員が気付いていた。それでも“オヤジ”は優しかった。時に食事をおごってくれ、時に少年たちが抱えるトラブルを解決してくれた。社会から「ドロップアウト」した不良の自分たちの面倒をみてくれる男に対し、Aは「義理や人情を感じていた」という。

 少年らはやがて自らのグループを「武侠連合」と名乗るようになり、男の仕事も手伝うようになった。

■ナイフや警棒、鉄パイプ「好きなん使え」

 「事務所に来てくれ」。男からの呼び出しがあったのは冬のある日。「もめている相手を取り囲む」と少年Bは聞かされた。

 集まった8人の少年を前に、男は持参してきた手提げバックを見せた。「好きなん使え」。中にはナイフや警棒、鉄パイプなどが入っていた。

 男と少年たちはその日の深夜、男の知人という40代の男性を姫路の東に隣接する高砂市内に呼び出して集団で暴行、殺害して山中に遺棄した。

 少年らは誰も被害者の男性を知らなかった。

 「(男は)暴力団員で、逆らえばそれなりの仕打ちを受けると思った」「絶対的な存在だった」

 公判で少年たちは、普段は男を“オヤジ”と慕う一方で、事件現場では恐怖を感じていたという主張を繰り返した。

 後に殺人や死体遺棄などの罪に問われた男は、神戸地裁姫路支部で懲役27年の判決を言い渡された。少年たちのほとんどは、少年院への収容が決まった。

     ◇

■「半グレ」抱える暴力団組織は有利

 1992年の暴力団対策法の施行以降、組員の行動が厳しく制限されたため、半グレ集団とのつながりを強める暴力団組織は少なくない。

 ある兵庫県警の捜査員は「組員が身動きがとれない中、資金稼ぎなどの面で半グレを抱えている組織が有利になっている」と指摘。武侠連合もこの典型例だったと語る。

 少年たちは暴力団に利用され、詐欺や薬物、強盗などの犯罪を行う手足とされる。

 暴力団が少年たちを取り込む手段は巧妙だ。かつて特定抗争指定暴力団「山口組」の総本部(神戸市灘区)で行われていた「ハロウィーン行事」もその一つとみられている。かぼちゃのおばけなどに仮装した組員がにこやかにお菓子を配り、大勢の親子連れが抵抗を感じないまま、総本部の門をくぐった。2020年10月に未成年に金品を供与することを禁じた兵庫県の改正暴力団排除条例が成立して、山口組のハロウィーン行事は実質的に開催できなくなった。

 警察庁は特に組織性の高い悪質な半グレを「準暴力団」として認定している。ただ、決まった事務所などを持たないことが多い半グレは、暴力団に比べて実態がつかみにくいのが実情という。

 兵庫県警の幹部は「未成年が組員に面倒を見てもらう中で『頼りになる』という感情を抱いてしまうこともある。改めて暴力団の危険さを周知していく必要がある」と話す。

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