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クレッシェンドの一場面(C)CCC Filmkunst GmbH
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クレッシェンドの一場面(C)CCC Filmkunst GmbH

 市民の生命を容赦なく奪う紛争が世界各地で絶えない。映画「クレッシェンド 音楽の架け橋」は、その象徴ともいえるパレスチナとイスラエルを舞台に、双方の若者が共に音楽をつむぎ、希望を模索する物語だ。(津谷治英)

■リアルな描写

 世界的指揮者のスポルク(ペーター・シモニシェック)は、紛争中のパレスチナとイスラエルの若手奏者を集めてオーケストラを編成。平和を祈るコンサートを開く計画を引き受ける。

 パレスチナ人がオーディション(入団選考会)に参加するのは至難の業だ。軍の検問、ユダヤ人を憎む家族との葛藤。それらを乗り越え、バイオリニストのレイラ(サブリナ・アマーリ)は、メンバー入りを果たす。スポルクにも見込まれ、コンサートマスターに。だが、ロン(ダニエル・ドンスコイ)らイスラエル側奏者は不満を募らせる。

 検問での理不尽な扱いはパレスチナ人にとってのリアル。メンバーはスイス・南チロルで合宿を送りながら本音をぶつける。時にののしりあう場面は迫真の演技で、問題の根深さを伝える。スポルクも第2次世界大戦で受けた深い心の傷を告白。「ともに音楽をつくろう」と呼びかける。

■実話がモチーフ

 物語は1999年、中東の障壁を打ち破ろうと設立された「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」に由来する。ユダヤ系指揮者のダニエル・バレンボイムと、盟友のパレスチナ系の文学者エドワード・サイードが協力し生まれた。イスラエルとパレスチナ、アラブ諸国から若き音楽家を集め、「共存への架け橋」を理念に、世界中で希望の公演を行っている。

 国、民族に関係なく、「音楽」は演奏者にとって共通の言語。「音で話そう」とのメッセージが通奏低音として全編に響く。

■パレスチナの主張

 中東を巡るニュースでは、パレスチナ住民の悲惨な状況、主張をしっかり伝えるものは今も少ない。本作は中立的な視点に立ってはいるものの、自分たちの土地、自由を奪われたパレスチナ住民の訴えをしっかり描く貴重な1本だ。

 随所に名曲を挿入。ドボルザーク、ビバルディの名曲が双方の怒りを沈めるように響く。ラストはラベルの「ボレロ」。打、管、弦楽器の一つ一つの音色が、平和のバトンをつなぐように聞こえた。

 ◆1時間52分。28日から神戸国際松竹などで公開。

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