総合 総合 sougou

  • 印刷
大本泰史さんの父、大本義忠さん=宝塚市内
拡大
大本泰史さんの父、大本義忠さん=宝塚市内
田中真さんの父、田中博さん=宝塚市内
拡大
田中真さんの父、田中博さん=宝塚市内

 兵庫県宝塚市のカラオケ店で2007年1月、客だった10代の少年3人が死亡し、男女5人が重軽傷を負った火災は20日、発生から丸15年を迎えた。亡くなった少年2人の父親が神戸新聞社の取材に応じ、再発防止を願いつつ「今も息子を思わない日はない」「あの日からずっと時間は止まったまま」と癒えない胸の内を明かした。

■大本泰史さんの父・義忠さん「危険放置、あの惨事は人災」

 自宅に赤ちゃんの手形・足形の額を飾ってある。

 亡くなった大本泰史(やすふみ)さん=当時(16)=の初節句の祝いに、父の義忠さん(67)=宝塚市=が業者に作ってもらったものだ。

 「20歳の誕生日に贈って驚かせる予定でした。でも結局、渡せずじまいになってしまいました」

 今も骨つぼを仏間に置いている。仏壇の台を「ヤスのテーブル」と名付け、朝はパンとコーヒー、夜はご飯やみそ汁を供えるのを欠かさない。携帯電話の着信メロディーは、泰史さんの大好きだったポップス「マタアイマショウ」に変えた。

 15年前の夕方、息子は「行ってくるわ」と言い残して友人と出掛けた。「はよ帰ってきいや」と返したのが最後の会話になった。

 防火設備が不十分なまま営業を続けた責任を問う民事訴訟を3遺族で起こし、16年に判決が確定。しかし、火災前に査察をしなかった宝塚市の責任は問われなかった。「危険が放置され続けていた以上、あの惨事は人災でしょう」とやるせない思いは変わらない。

 火災後、泰史さんの姉2人に5人の子どもが生まれ、こうも思うようになった。「孫に悲しむ姿ばかりを見せられない。天国のヤスも苦しめてしまう」

 15年の節目に遺影に伝える。「いつまでも胸の中にいる。ずっと、ずっとつながって生きていこうな」

■田中真さんの父・博さん「窓ふさがれていなければ」  

亡くなった田中真(まこと)さん=当時(18)=は生きていれば33歳。父の博さん(63)=宝塚市=がつぶやいた。「男同士、酒の一杯でも飲みたかったなあ」

 昨年11月、兵庫県稲美町で幼い兄弟が犠牲になった放火事件をニュースで見て、15年前の映像がよみがえり、体が震えた。

 「真もどんなに苦しかったか。2階の窓がふさがれていなければ、簡単にガラスを割って逃げることができたはずなのに…」

 とにかく気の合う息子だった。自身も趣味だったボウリングを小学生で始めると、すぐに高得点を出せるようになった。高学年になると、父の所属するだんじり保存会に入り、太鼓に夢中になって同級生の間で一番うまくなった。

 あの日、真さんが搬送先の病院で心拍停止になった時、4歳上の姉が叫んだ。

 「あんたが死んだら、誰が太鼓たたくねん!」

 すると心臓が再び動きだしたのを「間違いなく、声が届いた」と思える。しかし、心臓マッサージを受け続ける姿があまりにつらそうで、ついに諦めて人工呼吸器を外してもらった。

 それから、秋祭りで着る自身の法被に「真」と刺しゅうを入れた。真さんのジーンズ3本を今も愛用している。「そばにいる気がするんです。二度と、あんな惨事は起きてほしくない」

(西尾和高)

【宝塚市カラオケ店火災】2007年1月20日、宝塚市安倉南2のカラオケ店「ビート」の1階から出火。2階客室にいた会社員平嶋優樹さん=当時(17)=ら3人が一酸化炭素中毒で亡くなった。店の経営者らが業務上過失致死傷罪などに問われ、実刑が確定。09年6月、3人の遺族は市や店の経営者らに約3億円の損害賠償を求めて提訴した。16年6月、建物所有会社と元従業員に計約2億1600万円の支払いを命じた判決が確定。店を査察しなかった市の過失は認められなかった。

総合の最新
もっと見る
 

天気(5月28日)

  • 28℃
  • 19℃
  • 0%

  • 29℃
  • 15℃
  • 10%

  • 28℃
  • 19℃
  • 10%

  • 30℃
  • 17℃
  • 10%

お知らせ