総合 総合 sougou

  • 印刷
日本に退避してきたアフガニスタン人の男性3人=兵庫県内
拡大
日本に退避してきたアフガニスタン人の男性3人=兵庫県内

 昨年8月にイスラム主義組織タリバンが政権を掌握したアフガニスタンから、兵庫県内に避難している30代の男性3人が、神戸新聞社の取材に応じた。家族を残して心を痛めながらも来日したのは「教育を受けた自分たちが自国を救うため」と力を込める。「アフガンを忘れないで」と、国の現状やそれぞれの経験、心の内を英語で明かした。(聞き手・小谷千穂)

 -まずは自己紹介を。

 アブドラ(いずれも仮名、敬称略) 公立大学の助教授をしながら、大統領の執務室で働いてきた。妻も同じ執務室で働いていて、2人とも仕事を失った。

 カーレド 私も大学の助教授。郵便関係のディレクターもしていた。大学に通う妻と1歳の娘がいる。

 ハジ 教育大学の助教授をしている。ITディレクターも兼務。家族は妻と3歳の息子。妻は大学で文学の勉強をしている。以前は女性も大学に行けたし、会社や政府機関でも働けて輝いていた。

 -なぜ日本へ。

 カーレド 私たち3人ともITの技術者。数年前、国際協力機構(JICA)の留学プログラムで同じ神戸の大学院に2年間通った。今回は日本の退避支援によって、昨年10月に元留学生として入国できた。家族の帯同は認められなかったが…。

 県内で建設会社を営む男性が保証人になってくれ、日本まではカタールを経由して飛行機で移動した。アパートも用意してくれた。彼の支援がなかったらここにはいない。保証人が見つからなくて退避できていない人は多くいる。

 -家族はまだ国に。

 アブドラ すごく難しい判断だった。でも前に進もうと決めた。教育を受けたわれわれ若い世代は、国の財産。アフガンの将来のために一時的に別の場所に移るべきと考えた。日本での生活は不透明。状況が整えば家族を呼び寄せたい。

 心配でずっと連絡をとっている。命の危険はもちろん、物価が上がって食料が買えない。給与は数カ月間未払いなので、自力でどうにかできない。日本人の友人、藤田伊与さんがメディアプラットフォーム「note(ノート)」などで渡航費や生活費を募ってくれている。日本から援助をお願いしたい。

 -現地の状況は。

 ハジ タリバンの報道官はメディアで世界に向かって「権利を尊重する」と言った。だけど、タリバンが昔と変わったのなら、なぜ人々が国外へ逃げようとしているのか。なぜ基本的人権である教育を女性から奪おうとしているのか。恩赦を与えると言って、なぜ元政府の要職が殺されているのか。

 ある大学では、スーツを着て外を歩いていた人が射殺された。「洋服」を着ていたから。メディアには伝えられていないことがある。100以上のラジオ局は閉鎖された。女性がデモに参加すれば殴られる。報道と現実は違う。

 カーレド 今は女性はどんな職種であっても働けないし、1人で買い物に行くこともできない。

 -見据える先は。

 カーレド われわれが中学生のころに、タリバン政権が崩壊して社会ががらっと変わった。20年間、民主主義を経験した。今から20年前の社会に戻るのは考えられない。私たちは国のことを忘れない。状況がよくなることを願っている。

 ハジ 国を愛して、諦めないで努力する若い世代がいる。自分たちもそう。今回の政治的な駆け引きで、何も分からないまま突然に被害を受けたが、平和なアフガンになるのは遠い未来ではない。重要なのは「教育」。日本からも教育の権利が守られるよう圧力をかけてほしい。

 アブドラ 今の状況は本当に悲しい。全てを失ったが、諦めない。何か日本で新しいことを学んで、いずれアフガンに戻りたい。今は短期滞在のビザのため働けないが、在留資格を変更できたら、日本語を勉強して就職して自立したい。ほかの日本人と同じように社会の一員として日本社会に貢献したい。純粋に日本人と友情も育みたい。

    ◇

 アフガン元留学生の家族救出への寄付は、専用ページ(https://gofund.me/8fe2d5b3)へ。

■積極的な雇用呼び掛け 神戸情報大学院大・内藤副学長

 日本が受け入れたアフガニスタン人の退避者は、昨年12月10日時点で計488人。多くは日本大使館やJICAの職員で、政府開発援助(ODA)で日本へ留学経験のある約600人の大半はまだ現地にいる。元留学生に限り、家族が受け入れ対象にならないことなどが影響している。これまで30人以上のアフガニスタン留学生を受け入れてきた神戸情報大学院大学の内藤智之副学長は「家族も含め、日本への入国を望む人を支援してほしい」と訴える。

 入国後も、就職先や住居など生活面への支援が欠かせない。内藤副学長は「地域や自治体のコミュニティーで支える必要がある」と言及。また元留学生は「英語ができてIT技能のレベルが高い」とし、在留資格を得るためにも、自治体や企業に向けて積極的な雇用による支援を求めた。

 取材した男性3人の身元保証人によると、仕事を探す3人は、定住を希望する人向けに就労が可能な「特定活動」の資格への変更を昨年11月に申請した。ミャンマー人には広く適用されているが、現時点で3人はまだ受理されていないという。最長90日の在留資格の期間が満了し、延長を申請中で「じりじりと待っている状態」という。

総合の最新
もっと見る
 

天気(5月28日)

  • 28℃
  • 19℃
  • 0%

  • 29℃
  • 15℃
  • 10%

  • 28℃
  • 19℃
  • 10%

  • 30℃
  • 17℃
  • 10%

お知らせ