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特別クラスの授業。「ここまで分かった?」。教員が丁寧に指導する=神戸市垂水区桃山台4、桃山台中学校
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特別クラスの授業。「ここまで分かった?」。教員が丁寧に指導する=神戸市垂水区桃山台4、桃山台中学校
神戸新聞NEXT
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 生徒を理解度に応じたグループに分けて教える習熟度別指導。公立校ではいじめなどへの懸念からなかなか定着していないが、少しずつ増加傾向にある。神戸市立桃山台中学校では3年の英語と数学で実施し、生徒からも保護者からも好評という。授業をのぞくと、生き生きした光景が展開されていた。(鈴木久仁子)

 コンパスを使った作図に、生徒たちが没頭している。田中初江教諭が、こまめに席の間を歩く。うまく描けた生徒を見かけては「上手にできているよ」「お隣にも教えてあげて」と声をかける-。進度を遅くし、基礎基本を繰り返す「特別クラス」の授業風景だ。

 同校3年の特別クラスは現在、英語が週3時間、数学が週4時間。定員は各10人で、時間になると別の教室に移動し授業を受ける。

 放課後の補習ではなく、授業そのものを分けて行う点がミソだ。春から夏へ授業が進むにつれ、生徒は顔を上げノートを取り始める。「数学の時間のお客さんではなくなる」と田中教諭。「このクラスでは何を聞いてもいい。分からないところを分からないと言うのが始まり。教室は間違うところ、間違えたら皆の役に立つよと励ましています」

 生徒たちも「楽しく学んでいる」「めちゃ分かるようになった。何でも聞いてる」と声を弾ませる。

     ◇     ◇

 福本靖校長によると、取り組みを始めたのは3年前。きっかけは、家庭学習や塾など、小さい頃から支援を得られた生徒と、そうでない生徒の学力格差が広がる一方だったことだ。校長は「急な流れでは船に乗れなかった子どもも、ゆっくりなら乗れるようになる」と、川の流れに例える。実力テストの点数も着実に上がっており、年度始めに参加希望を全家庭に募ると、毎年定員を上回るという。

 PTA会長の小池哲史さんは、高2の長男がこのクラスで数学の力を伸ばし、今では簿記2級も取得したという。「特別クラスでしっかり学び、嫌いな数学と向き合う力を身に付けた。心配される劣等感のようなものはみじんもない」と明るく話す。授業中に寝るなど集中を欠く生徒も見かけなくなり、「今では保護者は、どこの学校でもやっていると思っている」。

 ただ実現には課題もある。福本校長によると、まず重要なのは教科の免許を持つ教員の確保。児童生徒数に応じた定数以上の教員が必要になる。同校は上乗せして配置される「加配教員」を活用している。

 また試験は、特別クラスも通常クラスと同じ問題を使う。生徒の評価を一律に行うためで、「特別クラスの子も、半分は解けるようにして高校へつなげたい」と校長。相互に連携した授業展開が必要で、学校全体でバックアップする意識の共有も欠かせないという。

 教員の働き方改革が課題となっている中、手間のかかる取り組みだが、福本校長は「生徒の将来を思えば、他校にも広がっていってほしい」と話す。

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■習熟度別指導、小中のほぼ半数が未実施

 文部科学省が「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)で、全国の小中学校に行っている調査によると、数学の授業で習熟度別の少人数指導を行う公立中学校は少しずつ増えている。

 「習熟の遅いグループに、少人数による指導を前年度に行ったか」を尋ねた設問に、年間の授業の「3/4以上で行った」「1/2以上、3/4未満で行った」と答えた公立中の割合を合計すると、2013年度が23・7%だったのに対し18年度は28・6%に増えた。兵庫県でも同年度は30・1%と3割を超えた。

 一方で「実施していない」と答えたのは全国で49・4%。兵庫県では52・6%と半数を上回る。

 兵庫県教育委員会によると、加配教員については少人数制や習熟度別の授業で活用するよう要望は出しているが、実際の運用は各校の事情に任せている。担当者は「習熟度別が長引くと、優越感や劣等感につながるとの意見もある。互いに意思の確認を徹底し、気持ちよく学べる環境を望んでいる」と語る。

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