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「母の実家がある淡路島で子どものころ見聞きした経験が、自然を好きになる土台になった」と話す新之介さん
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「母の実家がある淡路島で子どものころ見聞きした経験が、自然を好きになる土台になった」と話す新之介さん

 坂道、暗渠、天井川-。地形や地質を観察しながら町歩きする「地形散歩」の視点は、名所や旧跡をつなぐようなハイキングにも彩りを添える。広告代理店で働きながら、愛好家グループ「大阪高低差学会」の代表も務める新之介さんは、心の中で自由にイメージを膨らませる意味で「妄想」という表現を使い、地形散歩の魅力を「遠い昔の姿を妄想することにある」と解く。

 高校時代に受験勉強として地理や地学を学んだが「教科書に写真が載っているような地形って割と遠方にあって、自分と関係があるようには思えなかった」。

 大阪などの古い町並みをブログで発信していた2012年、縄文時代の東京の地形から現代社会を読み解いた思想家・中沢新一氏による著書「アースダイバー」に影響を受け、地形散歩を始めた。

 その縁で中沢氏のトークイベントに出演し、16年には初の著書「大阪『高低差』地形散歩」を出版。同年、NHKの人気番組「ブラタモリ」に案内人役として出演を果たし、その後も次々と著書を出している。

 神戸市須磨区一ノ谷町にある標高50メートル前後の平坦な場所は、波の浸食で12万~13万年前に平らになった海底が隆起した「海成段丘面」と考えられる。隆起は六甲山地ができるきっかけとなった「六甲変動」によるもので、六甲山地は、マグマがゆっくり冷えて造られる花こう岩が隆起と風化を繰り返して現在の姿になっている。

 本書では、町の中で一般的に見られる地形の成り立ちを分かりやすく解説する。何げない風景が、新之介さんの知識と「妄想」というフィルターを通すことによって太古の姿とつながり、いっそう興味深く思えてくる。

 一方で、執筆しながら「山は崩れていくもので、川は氾濫を繰り返すもの」という事実も再認識したという。「地元の地形が持っているリスクは、命を守るためにも知っておく必要があるのでは」と読者に警鐘を鳴らす。

 「なぜここに段差や坂道があるのだろうと疑問を持ちながら歩くことは、地元の魅力を再発見することにつながるし、旅行先での楽しみ方も広がる。そして人生を豊かにするはずです」

 (「地形散歩のすすめ」は学芸出版社・2200円)(井原尚基・文化部)

【しんのすけ】本名は新開優介。1965年、大阪市生まれ、同市在住。ブログ「十三のいま昔を歩こう」管理人。散歩中はスマホなどで使えるアプリ「スーパー地形」を愛用する。

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