新型コロナウイルスのワクチン3回目接種が低調な状況を受け、兵庫県は接種の意義やメリットを解説する動画を制作し、県のホームページ(HP)などで配信を始めた。接種によるオミクロン株感染の抑制効果を研究で確認した神戸大大学院教授の森康子・感染症センター長が出演し、積極的な接種促進を訴えている。(金 旻革)
ワクチン接種率は2回目が全国で74・26%、兵庫では73・60%に上る(6日時点)。一方、3回目接種は全国5・89%、兵庫5・76%。今年1月までに3回目接種が想定されていた医療従事者や高齢者らに対象を絞った場合でも、全国27・8%、兵庫26・6%にとどまる。
接種が低調な背景には、1、2回目とは異なるワクチンを打つ「交互接種」への抵抗感があるとされる。1、2回目で米ファイザー製を打った人は、供給量の関係から3回目で米モデルナ製を打つ可能性があり、副反応を忌避する心情が働くなどして、接種率が伸び悩んでいるという。
オミクロン株による感染急増が続く中、県は早期接種を促そうと啓発動画の制作を企画。1月、3回目接種の効果を国内で初めて確認したと発表した森教授を起用した。神戸大病院の医師65人を対象とした森教授らの研究調査では、ウイルス感染を抑制する「中和抗体」の保有量が2回目接種から半年で大きく減った一方、3回目接種で大幅に上昇することを明らかにした。
森教授は動画内で「オミクロン株の抑制に3回目接種は必須」と強調。また、交互接種でも抗体量が十分に獲得できるとし「ファイザーとモデルナで副反応に大きな差はない」と呼び掛ける。県の今後(いまご)元彦参事も「大規模接種会場は予約枠に余裕があるので積極的に接種してほしい」と話す。
動画は斎藤元彦知事との対談形式や森教授の記者会見、30秒に編集した動画など計4種類を制作。県のインターネット放送局「ひょうごチャンネル」で放送するほか、9日からは神戸・三宮のミント神戸でも流す。各市町のケーブルテレビなどでも広報が始まっている。
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