1968年に起きた食品公害カネミ油症事件で、全国油症治療研究班(事務局・九州大医学部)は8日、認定患者の子や孫を対象にした初の「次世代調査」の中間報告を発表した。388人から回答があり、倦怠感や頭痛など油症患者に特有の症状を訴えた人が、それぞれ約4割に上った。研究班は今後も調査を続け、「次世代の患者認定につながるような結果を出したい」とした。
油症患者から生まれた子や孫は、認定基準となるダイオキシン類などの血中濃度が一般人とほとんど変わらず、身体的な症状があっても患者認定されるケースは少ない。子ども世代も一部は患者認定されているが、全体で何人いるかは分かっていない。
研究班は昨年8~11月、全国の認定患者約1500人に調査票を送付。福島県から沖縄県にかけて30都府県の患者の子どもや孫388人が回答した。30代と40代が56%を占めた。兵庫県内は17人だった。
全回答者の約4割が訴えた不調は、乾燥肌と倦怠感、頭痛で、油症患者に多い症状と重なった。また、皮膚のかゆみやニキビなどのトラブルを抱えている人も多かった。
研究班の辻学班長は「患者に特徴的な頭痛や倦怠感などのほか、早産・低体重での出生や、歯の欠損などの割合は多い印象」とした。研究班は今後、回答者に油症検診を受けてもらい、客観的なデータを集め、基準の見直しに向けた国などとの協議も視野に入れる。
油症被害者関西連絡会共同代表の渡部道子さん(65)=姫路市=は「次世代でも日常生活を送るのが困難なケースもある。一時は50年かかると言われた調査だが、ようやく進み始めた」と話した。
カネミ油症は、カネミ倉庫(北九州市)製の食用米ぬか油に化学物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類が混入して健康被害が発生。西日本を中心に約1万4千人が健康被害を訴えたが、認定患者は全国で計2355人にとどまる。存命の県内認定患者は15人いる。(小尾絵生)
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