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黒い壁が今井俊満の絵画を引き立てている=大阪市北区中之島4、大阪中之島美術館(撮影・坂井萌香)
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黒い壁が今井俊満の絵画を引き立てている=大阪市北区中之島4、大阪中之島美術館(撮影・坂井萌香)
佐伯祐三「郵便配達夫」(1928年、左)や白隠の墨蹟などの山本發次郎コレクションを紹介する=大阪市北区中之島4、大阪中之島美術館(撮影・坂井萌香)
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佐伯祐三「郵便配達夫」(1928年、左)や白隠の墨蹟などの山本發次郎コレクションを紹介する=大阪市北区中之島4、大阪中之島美術館(撮影・坂井萌香)
佐伯祐三「彌智子像」(1923年)山本發次郎コレクション=大阪市北区中之島4、大阪中之島美術館(撮影・小林伸哉)
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佐伯祐三「彌智子像」(1923年)山本發次郎コレクション=大阪市北区中之島4、大阪中之島美術館(撮影・小林伸哉)

 構想から約40年をへて、大阪中之島美術館(大阪市北区)が今月開館した。「Hello! Super Collection 超コレクション展 -99のものがたり-」では、収蔵した6千点超の中から、厳選した名品約400点をお披露目している。100個目のものがたりとは何なのか-。作品と向き合って、かけがえのないストーリーを紡ぐのは、あなた自身しかいない。(小林伸哉)

 思わず声が漏れたのだろう。「やちこ、やちこ、やちこや…」。隣にいた年配の男性が呪文のようにうなった。名画と出合えた歓喜の声に違いない。視線を追うと、女の子の肖像画が掛かっていた。赤いほっぺたが愛らしい。大阪生まれの洋画家佐伯祐三がまな娘を描いた「彌智子(やちこ)像」(1923年)だ。明るい色調が一家の幸せを予感させる。

 しかし、佐伯は渡仏中の28年に30歳で早世した。現地にいた彌智子も2週間後、父と同じ肺の病で亡くなる。6歳だった。

 「99のものがたり」として最初に紹介される絵画だ。本展は創作時の逸話や見どころ、収蔵の経緯などの物語を伝えて展開する。

 佐伯の作品は今回、代表作「郵便配達夫」(28年)など8点を飾る。「生涯の画業が見渡せる作品をチョイスした」と高柳有紀子主任学芸員。およそ100年前の絵画から、独自の表現を求めて苦闘する姿や家族を襲った悲しみがよみがえる。

 佐伯の作品群は、芦屋に居を構えた実業家山本發次郎(はつじろう)(1887~1951年)の遺族が83年、大阪市に寄贈して美術館構想のきっかけになった。山本のコレクションには、白隠ら高僧の墨蹟(ぼくせき)やアジアの染織品も含まれ、合わせて展示中。大阪の美術を飾る部屋も名品ぞろいだ。北野恒富「淀君」や島成園「祭りのよそおい」、池田遙邨「雪の大阪」などが並び、ファンが見入っている。

 黒い展示空間も設けた。芦屋市発祥の前衛美術集団「具体美術協会」(具体)が、かつて大阪・中之島に構えた拠点「グタイピナコテカ」の壁の色にちなんだ。「誰もやっていないことをやれ」。そう若手を指導した具体のリーダー吉原治良(1905~72年)が、円を描いたシリーズなどが並ぶ。今井俊満が絵の具を分厚く塗り重ねたエネルギッシュな絵画は、黒い壁から噴き出すようだ。

 高柳さんは山本と吉原の共通点として「既存の枠にとらわれない進取の精神」を挙げる。美術館はコレクションだけでなく、その精神も「受け継いでいく決意である」と図録に記した。

 近現代のデザインでは、アルヴァ・アアルトの家具、ミュシャやクリムトのポスターなどを展示。19世紀後半~20世紀初頭の椅子の優美な造形を際立たせるため、白い布にシルエットを映す見せ方が心憎い。

       ◇

 「とにかくたくさん出させていただきました」と菅谷富夫館長(63)。モディリアーニ、キリコ、マグリット、ダリ、ジャコメッティらの代表作がずらり。日本の現代作家も草間彌生、杉本博司、森村泰昌など名を挙げ出すときりがない。

 「2時間あっても見終わらない」。そんな来場者の声もあり「覚悟して見ていただきたい」と菅谷館長。開館準備に約30年関わった経験から「『活動する美術館』として披露でき、幸せに思う」としみじみ。「一人一人の『体験』がまちの在り方を変える」と語る。

 3月21日まで。同日を除く月曜休館。一般1500円ほか。大阪中之島美術館TEL06・6479・0550

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