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病院から処方された解熱剤とせき止め薬だけが頼りだった=神戸市内
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病院から処方された解熱剤とせき止め薬だけが頼りだった=神戸市内
神戸市から届いた就業制限通知書。違反した場合の罰則も記載してある(画像の一部を加工しています)
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神戸市から届いた就業制限通知書。違反した場合の罰則も記載してある(画像の一部を加工しています)

 1月中旬、記者(31)は新型コロナウイルスに感染した。ある日突然、自宅から出られなくなり、家族や同僚に頼りながら約2週間をしのいだ。感染者になって感じたのは、症状の想像以上のつらさだった。一方で、感染者に対する人々の理解と優しさが社会に広がりつつあることも実感した。

 ■突然の連絡

 1月中旬、取材を終えてスマートフォンをのぞくと1件のメッセージが入っていた。

 「本日、クリニックで検査したら陽性でした」

 一瞬何のことか分からなかったが、2日前に会った取材相手だと気付いた。先方の自宅を訪ね、マスクをつけた状態で1時間ほど話を聞いていた。

 その時点で症状はなかったが、すぐに上司へ報告し、近くの病院でPCR検査を受けた。当時、神戸市内の新規感染者は1日500人程度で、医療体制に余裕があった。妻にも電話し、急いで職場から帰宅してもらった。

 結果は「陰性」。安心したのもつかの間、翌日に熱が出た。午後には38度を超え、同じ病院で再検査すると「陽性」。覚悟はしていたが、不安だった。

 まず頭に浮かんだのは仕事のこと。数日中に接触した取材相手や同僚にうつしていないだろうか。そして2人暮らしの妻に感染させないだろうか。

 ■周囲の反応

 「息苦しくなったら、すぐ病院か保健所に電話してくださいね」。病院の看護師が優しく話しかけてくれ、少し落ち着いた。

 帰り道、上司に報告して指示を仰ぎ、妻にはLINE(ライン)で「yosei!」と、あえて明るめに伝えた。深刻に思いたくないし、思わせたくなかった。

 帰宅後は大変だった。解熱剤を飲み、数日中に取材で接触した人に電話し、迷惑をわびた。動揺する方もいれば、「誰がなってもおかしくないから」と励ましてくれる方もいた。

 数日間の行動履歴と接触のあった同僚の名前を会社に報告し、何人かに検査を受けてもらった。

 人に会う機会が多い仕事だけに、職場に与える影響は大きい。幸いほかにうつした様子はなく、むしろ「買い出し行くよ」「ゆっくり休んで」と気遣いの連絡をもらえたことが精神的に大きかった。

 一息つくと再び熱が38度台に戻り、いったん仕事のことは忘れようと決めた。

 ■自宅療養

 2日目、熱は39度に上がった。報道から「オミクロン株の症状は軽い」と思っていたが、甘かった。

 体のだるさ、喉の痛み。特に就寝時はせきが止まらず、温めたスポーツドリンクとのどあめでしのいだ。肺炎の症状や呼吸困難などが厚生労働省が示す中等症以上の基準だが、「こんなにしんどくて軽症?」というのが正直な感想だった。

 4日間は36~38度台で上下を繰り返し、解熱剤とせき止め薬だけが頼り。その処方薬も切れ、たまらず病院に連絡すると、電話診療のみで追加の薬を郵送してくれた。

 病院からは家族との隔離を指示されたが、精いっぱい対策をしても、1LDKに妻と2人暮らしではスペースがない。案の定、療養4日目、妻に微熱と喉の痛みが出始めた。

 その日受けたPCR検査は陰性だったが、翌日に熱が上がり、抗原検査で陽性が出た。医師には「十分発熱しないと陽性になりにくい」と言われたそうだ。

 つらい目にあわせるのが申し訳なかったが「仕方ないよ」と笑ってくれた。

 発症前に食料の買いだめをしていたのも幸いした。たまった仕事が頭をもたげ、日々動く社会と、時が止まったかのような療養生活とのギャップがつらかった。

 ただ、できることは何もない。割り切って、できるだけ好きに過ごそうと決めた。

 日中は2人で映画やドラマを見て過ごし、食事はデリバリー業者の「置き配」(玄関前に置いてもらうサービス)を使ってみた。

 1人での療養だったら、耐えられなかったかもしれない。

 ■電話がこない

 この間、市内の感染者は急増し、保健所や医療体制がひっ迫していくのが感染者側からも分かった。私の時はすぐに受けられたPCR検査が、妻の時は同じ病院で受けられなかった。

 陽性判明後、「2~3日で」と聞いていた保健所からの電話は、療養5日目でやっとかかってきた。

 繁忙は理解していたけれど、その間に症状が悪化したら、どうなったろう。

 自宅療養したのは発症日から10日間。再検査はなく、2回目の電話連絡で「発熱がなければ社会生活に戻ってください」と伝えられた。倦怠感と時折のせきは続き、「これで仕事には行けないな」と内心思った。妻の解除日には電話連絡もなく、夜まで待って自ら電話し、外出許可をもらった。

 念のため、さらに1週間の在宅ワークを続けた。丸3週間も自宅にこもって過ごしたのは、10年ほどの記者生活で初めてだった。

 ■風邪とは違う

 療養中、ニュースサイトやSNSで「インフルエンザよりマシ」「規制は撤廃すべき」といったコメントを何度か見かけて、複雑な気持ちになった。39度の高熱は幼少期のインフルエンザ以来で、せきやだるさは2週間以上続いた。夫婦ともワクチンを2回接種済みで、持病はなかったのだが。

 医学的には2人とも「軽症」らしいが、風邪とは全く異なる。症状の長さや後遺症は特有で「本当に体調が戻るのか」「社会復帰できないかも」と不安も強かった。

 治癒後、周囲で感染した人とも情報交換したが、症状が全く出なかったという人もおり、個人差が大きいと感じた。一方、必要以上に恐れず、感染者を思いやるメンタリティーも社会に根付いてきているとも実感した。

 もし感染したら。慌てず冷静に、周囲と情報を共有し、医師や行政の指示に従い、行動したい。周囲は感染者を責めず、それこそ「風邪のように」体調を気遣い、前向きに励ましてもらえるとありがたい。

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