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暴対法に基づく山口組の指定作業を振り返る宮田常勝さん=姫路市内
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暴対法に基づく山口組の指定作業を振り返る宮田常勝さん=姫路市内

 暴力団組員の不当要求行為を取り締まる「中止命令」。発出には暴力団対策法に基づく組組織の「指定」が必要だ。30年前、国内最大の暴力団山口組の指定という前例のない作業に携わった県警OBにその過程を聞いた。

 県警の元暴力団対策1課次席、宮田常勝さん(79)=兵庫県姫路市。「毎日泊まり込みの仕事。他部署からも応援が入り、従事した捜査員は300人を超えた」と振り返る。

 当時の山口組は42都道府県に2万3千人という大きな勢力だった。総本部が神戸にあるため、兵庫県警の捜査員が担当した。

 指定には、組織の威力を使って資金を得ている▽幹部に占める犯歴保有者の比率が一定以上▽階層的に組織が構成されている-などの要件を裏付ける必要があった。

 組内部の組織図や、組員の組織犯罪捜査資料など。宮田さんらは全国の警察から郵送やファクスで届く大量の資料を一つ一つ確認し、実態を裏付けていった。

 地道な作業が実り、全国初の指定が実現したのは1992年6月。法律を追い風に、社会と警察は一気に暴力団への規制を強めた。2015年以降、山口組は三つに分裂したものの、分かれた神戸山口組と絆会(旧・任侠山口組)は、いずれも指定暴力団となった。

 30年前に全国で9万人以上いた暴力団構成員らは、今や2万人台に減った。それでも宮田さんは「一般人が対応できない組織暴力を使うのが彼らの恐ろしさ。暴対刑事は今も命を張って仕事をしている」と言葉に力を込める。

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