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クラスターが起きた高齢者施設で支援活動をするNPO法人「ジャパンハート」のスタッフ=兵庫県内(同NPO提供)
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クラスターが起きた高齢者施設で支援活動をするNPO法人「ジャパンハート」のスタッフ=兵庫県内(同NPO提供)

 新型コロナウイルスの第6波により、人口当たりの死者が全国ワースト3の兵庫県。県などはその要因として、高齢者施設でのクラスター(感染者集団)の多さを挙げる。県内の施設を支援するNPO法人「ジャパンハート」(東京都)国際緊急救援事業部長の高橋茉莉子さんは、感染拡大による施設の人員不足を指摘し、「現場は何とか使命感だけで立っている状況」と訴える。

 県によると、昨年12月20日から2月16日までに県内で発生したクラスターは331件。うち117件は福祉施設で、多くの死者が出た第4波(78件)を超えた。

 同NPOは2004年に国際医療NGOとして設立。コロナでは、クラスターが発生した全国の病院や高齢者施設を支援しており、兵庫県には22カ所にスタッフを派遣する。

 高橋さんによると、高齢者施設の入所者が陽性で発熱しても、現状では入院調整が難しく医療機関に搬送できない。そして施設に医療従事者がいないと、医療行為にあたる点滴などはできない。その結果、入所者が食欲を失うと、栄養を取れず亡くなってしまうという。

 オミクロン株は重症化しにくいといわれるが、それも「軽症・中等症の初期段階で、どれだけ医療介入できるかにかかっている」と高橋さん。高齢者はもともと何らかの疾患を持っていることが多い。軽症で医療機関にかかれず、重症化を防げず命を落とすケースもあるのでは、とみる。

 一方でオミクロン株は感染力が強く、施設の職員が次々と感染し、残った職員は過酷な負担を強いられる。20日以上連続で勤務する看護師。日中働き続け、夜は車で寝泊まりする小規模施設の施設長…。いずれも同NPOのスタッフが、兵庫などで目にした事例だ。「医療提供どころか、通常の生活ケアもままならない悪循環になっている」と懸念する。

 第6波の感染者数は全国的に減少傾向にあるが、高橋さんによると、クラスターが発生した施設の支援は、陽性者数がピークを過ぎてから本格化する。「クラスター件数のピークは一歩遅れるため、しばらくはタイトな状況が続くだろう」とみる。

 一つの施設でクラスターが収束するまで「うまくいっても1カ月、規模が大きければ3カ月はかかる」と高橋さん。施設の職員には「クラスターには必ず終わりがある」と励ましているという。

 「慣れない防護服を着て、24時間も36時間も続けて勤務し、それが3カ月も続く状況を想像してください。それに耐えながら地域の医療を支えている人がいることを、多くの人に知ってほしい」(高田康夫)

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