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時短の要請が続き、閑散とした神戸・三宮の歓楽街=1月27日夜、神戸市中央区中山手通
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時短の要請が続き、閑散とした神戸・三宮の歓楽街=1月27日夜、神戸市中央区中山手通

 新型コロナウイルス感染拡大に伴うまん延防止等重点措置が、兵庫県で再延期されることになった。休業を含む時短要請も継続される見込みだが、神戸新聞社の双方向報道「スクープラボ」には、休業に見せかけてひそかに店を開く「闇営業」を疑う情報が次々と寄せられている。シャッターを閉め、裏口から客を入れているという神戸市内の居酒屋の前で、深夜まで張り込んだ。(小谷千穂)

 「看板に『休業します』と書いているのに、裏口から客を入れて営業している店がある。酔客が午後11時ごろに出てきている」

 2月、神戸市内にある居酒屋について、近くに住む女性が連絡をくれた。一昨年、時短や休業への協力金制度が始まってから、時短要請のたびに同様の状況が続くという。女性は県や警察にも連絡したが、様子は変わらないという。

 多いときは週に4日ほど、店内からにぎやかな声が聞こえてくるという。女性は「協力金の不正受給の可能性もある。どこに通報したらいいの?」と憤まんやるかたない様子だ。

 2月18日、記者はその店の前に行ってみた。表の入り口は確かにシャッターが閉まり、休業を知らせる看板が掲げられていた。だが午後7時すぎ、明かりがともり、換気扇が回った店内に、男性が1人、裏口から入っていった。

 屋外の壁についた給湯機器からは湯気が出ている。店内からは複数の男女の話し声に加え、グラスや皿などの食器を重ね合わせる音も響いた。午後11時前、タクシーが店の駐車場に入り、客と思われる人を乗せて出ていった。

 後日、店員の男性(63)に直撃した。男性は「ゴルフのコンペをした後とか、誕生日会とかで、常連さんが月に何回もうちに集まっている。店の食器を使うものの、飲食物は持ち込みのため支払いはない」と営業の実態を否定した。

 2階が住宅で、1階の店舗をプライベートで活用しているだけだという。店は開業してまだ3年。まん延防止による休業中にイベントを開くのは「せっかくできた常連が来なくなったら困る」のが理由とする。

 ただ、詳しく聞くと、ゴルフのコンペは昨年11月が最後という。今回のまん延防止等重点措置期間は、週に何日も、飲食物持ち込みの誕生日会などが開かれているということになる。

 今回、午後9時を超えて営業する店が休業した場合にもらえる協力金は最低でも1日3万円。男性は過去にも協力金を受け取ってきたことを認めた。

     ◆

 兵庫県によると、昨年1~10月を対象にした飲食店への協力金は、約21万1800件に計約2900億円が支給されたという。一方で審査の結果、「元々、営業していたかどうか確認できない」「時短要請に応じていない」などとして約5400件が不支給になったという。

 疑いのある店を見つけた場合、住民や同業者はどう通報すればいいのか。

 兵庫県は、時短要請に従っていない店の通報先として、まん延防止等重点措置コールセンター(TEL078・362・9921)を案内している。通報を受けた後、委託事業者が別の日に現地で確認し、手紙を出して指導する。応じなければ命令文書を郵送する。

 「闇営業」など協力金不正受給の通報は、休業・時短協力金コールセンター(TEL078・361・2501)で受け付ける。確認ができれば、協力金の支給前なら「不支給」とし、支給後なら返還を求める。

 コールセンターへの通報は、毎日多く寄せられているという。ただ、不正を見破るためのハードルは高い。その一つは「期間」。緊急事態宣言やまん延防止の期間中に事実を確認し、指導しなければならず、間に合わないことが多いという。

 もう一つは「証拠」。強制捜査権を持つ警察とは違い、店主自身が認めないと不正と判断しにくい。また、協力金は後日の申請のため、その場で取り締まれないという。県の担当者は「近所の聞き込みなど最大限の努力をしているが、限界がある」と認める。

 一方、警察への届け出は、時短要請に従っていないだけでは管轄外。だが、協力金不正受給の可能性がある場合は対象になる。偽って協力金を受け取るのは、詐欺行為に当たるためだ。

 実際に店主を逮捕するなど事件化したケースもある。ある県内の警察署幹部は「行政のように、真正面から『営業してますか』と聞くことはしない。手順を追えば難しい捜査でもないので、ウエルカム。ぜひ通報を」と話した。

     ◆

 多くの飲食店は、不安な思いを抱きながらも時短や休業の要請に従っている。

 神戸・三宮で経営するバーを休業する男性(46)は「コロナ禍で常連が6割ほど来なくなり、客離れが深刻化している」と話す。周囲で、闇営業や、元々営業実態のなかった店による不正受給があるといい、「きちんと守っている方からすればアホらしい」と憤る。

 男性は「今の制度では不正を取り締まるのは不可能に近い」と諦めつつ、「コロナが明けて、不正した店が生き残っているかは常識を持ったお客さんが判断してくれるはず」と願った。

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 神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」に取り組んでいます。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。LINEで友だち登録(無料)するか、ツイッターのダイレクトメッセージで投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。

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