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PHD協会のシェアハウス。ウクライナからの避難民の受け入れ場所として検討される=9日午後、神戸市長田区
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PHD協会のシェアハウス。ウクライナからの避難民の受け入れ場所として検討される=9日午後、神戸市長田区

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、200万人以上のウクライナ人が隣国へ避難し、日本でも避難民の受け入れが焦点になっている。岸田文雄首相が受け入れる考えを述べ、兵庫県も9日、住まいとして県営住宅を無償提供するなどの支援策をまとめた。政府はまず、日本に知人や親族がいるウクライナ人を受け入れる方針で、県内の団体には既に相談が寄せられている。

 NGO(非政府組織)外国人救援ネット(神戸市中央区)の運営委員で、長年外国人の支援を続けてきた草加道常さんの元には「ウクライナ人家族を日本で受け入れたい」と、大阪に住む人から相談があった。

 知り合いのウクライナ人男性は首都キエフにとどまっているが、家族はキエフから西方に逃れていて、日本に向かわせたいと希望したという。ただ、費用が課題で、まだ意志は固まっていない。

 外国人救援ネットは約3年前も、今回ロシアが共和国として独立を承認したウクライナ東部地域に住む女性の相談を受けた。住んでいたアパートが砲撃で破壊されたため、神戸に住む娘を頼って来日し、在留資格を得ていた。

 今後、どこまで受け入れを拡大するのか、具体的に示されていないが、草加さんは1970~90年代の「インドシナ難民」を挙げて、「個人の状況に合わせて柔軟に在留資格を認めるべきだ」と話す。

 インドシナ難民では、兵庫県姫路市内の「姫路定住促進センター」などがベトナム人らの受け入れ拠点となり、日本語教育や就職あっせんなどがあった。草加さんはウクライナ避難民でも長期滞在を念頭に「国に帰る人もいるだろうが、2年程度の日本語教育や職業スキルの研修など長期的な支援が必要」と指摘する。

 また、軍事クーデターが起きたミャンマーや、イスラム主義組織タリバンが政権を掌握したアフガニスタンなどの人々を支援してきた国際協力団体「PHD協会」(神戸市長田区)には3月初旬、県内の行政機関から「どれぐらいの受け入れが可能か」と問い合わせがあった。事務局長の坂西卓郎さん(43)はシェアハウスなどでの受け入れに意欲を示しつつ、「日本に来て本当に幸せだろうか」と不安も口にする。

 昨年から支援するアフガニスタン人らは在留資格が「短期滞在」しか認められず就労ができない上、家族も呼び寄せられていない。これまで難民をあまり受け入れてこなかった日本で、ウクライナの人々を受け入れる機運が高まるか懸念もある。坂西さんは「ウクライナ情勢に注目が集まる今、難民受け入れの意識を変えるチャンスにしたい」と訴えた。(高田康夫、小谷千穂)

ウクライナ侵攻神戸
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