ロシアがウクライナに侵攻して以降、日本国内のロシア料理店などに誹謗(ひぼう)中傷が相次いでいる。神戸市内では、ウクライナ人が営む店がインターネット上で書き込みをされ、被害を受けた。店主は「なぜ関係のない店まで巻き込むのか」と疲れ切った様子で話す。
今月初め、「ロシアンピロシキ」(神戸市灘区)店主のワンゲリエワ・オリガさん(41)は、店の口コミページを見て言葉を失った。ロシア兵の遺体とみられる画像が貼り付けられていた。
「変な料理ばっかり」「ロシアの伝統料理?」…。来店者の感想とは思えない否定的なコメントが記され、低評価が付けられていた。
兵庫や大阪のロシア料理店が中傷被害に遭っていることは知っていた。「うちにも書き込まれるとは」。従業員や店自体に被害が及ぶ可能性を考え、「しばらく休業した方が良いか」と思うほど動揺させられた。
オリガさんが投稿者のアカウントをさかのぼると、全国のロシア料理店に同様の書き込みをしていた。投稿はその後削除され、アカウントもたどれなくなっているが「お客さんが減るかもしれないと思うと、心が折れそうになった。いたずらかもしれないけれど許せない」と憤る。
オリガさんはウクライナ南東部のマリウポリ出身。ロシアに近く、ロシア語を話す。2001年に来日し、貿易関係の会社や神戸市内のロシア料理店などに勤務。18年に仲間と店を開業した。
76歳になる母親は現在もマリウポリに残っており、「撃ち合いが聞こえる」などと話した2日朝の電話を最後に連絡が取れなくなった。現地では水道や電気のほか、電波も不通といい、「毎日100回以上電話をしているけれどつながらず、心配で夜も眠れない。命だけは助かってほしい」と祈る。
外国人からの生活相談などを受け付ける「ひょうご多文化共生総合センター」(神戸市中央区)の河知秀晃センター長は「ヘイトスピーチと同様に間違った行為だ。関係のない個人や団体を非難することはあってはいけない」と話す。現在のところ、同様の相談は寄せられていないという。同センターTEL078・382・2052
(竜門和諒)
【特集ページ】ウクライナ侵攻
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