兵庫県内で新型コロナウイルスの新規感染者数が下げ止まり傾向となっている。県や神戸市の検査では、感染力が強いとされるオミクロン派生株「BA・2」への感染が疑われる患者が4割を超えた。専門家は第6波で主流だった「BA・1」から急速に置き換わりつつあることが下げ止まりの要因とみて、今後増加に転じる可能性も指摘し、危機感を募らせる。
直近1週間の1日平均で感染者数の推移をみると、第6波のピークは2月10日の5612・9人。その1カ月半後の3月25日に1661・7人まで減少した。ただ、第5波のようには下がり切らず、同26~30日の感染者数は5日連続で前週の同じ曜日を上回った。
年代別では、3月18~24日は10歳未満の感染者(2412人)が全体の約2割を占めたが、同25~31日は10歳未満が減る一方、10代が2590人と前週比約1・2倍に。20代も約1・3倍になり、若者への感染拡大が目立ってきた。
感染者数が下げ止まる中、変異株PCR検査でBA・2への感染が疑われる患者の割合は増えている。県の検査では、2月下旬にはほとんどなかったが、3月21~27日は検体58件のうち27件(46・6%)でBA・2の疑いが判明。神戸市でも同期間の206件のうち、94件(45・6%)に上った。
神戸大病院の宮良高維・感染制御部長は「第5波までと比べて(感染者数の)減少スピードが遅い。BA・1が減少する一方で、置き換わったBA・2の拡大が同時に起こっているのではないか」と分析。「(感染力が強いとされるBA・2へと)今後さらに置き換わりが進むことで、感染者が再び増える可能性は高い」と予測する。
年度替わりで人の動きの多い時期を迎え、「ワクチンの3回目接種を進めるとともに、感染リスクのある飲食の場や多くの人が集まる場は注意しなければならない」と呼び掛けた。
(高田康夫、井川朋宏)
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