総合 総合 sougou

  • 印刷
まぁるい抱っこを提唱する辻直美さん=大阪府島本町広瀬4
拡大
まぁるい抱っこを提唱する辻直美さん=大阪府島本町広瀬4
辻直美さん(中央)の指導の下、「まぁるい抱っこ」を実践する2組の母子=大阪府島本町広瀬4
拡大
辻直美さん(中央)の指導の下、「まぁるい抱っこ」を実践する2組の母子=大阪府島本町広瀬4

 抱っこは育児の基本で、ママ、パパと赤ちゃんとの最初のスキンシップになる。でも泣きやまないときは焦ってうまくいかず、かえって機嫌を損なう。専門サイトに寄せられる抱っこの悩みは尽きず、育児のつまずきになるケースも。子育て講座を主催する「育母塾」代表理事の辻直美さん(52)=大阪府吹田市=は、腕全体で円をつくり、中に包み込むような「まぁるい抱っこ」を提唱。すぐに泣きやむと評判だという。講座を訪ね、上手な抱っこのヒントを探った。(津谷治英)

 関西3府県を含む全国18都道府県に新型コロナ対応のまん延防止等重点措置が適用されていた3月上旬の平日午前。京都府との境に近い大阪北部、島本町の閑静な住宅地にあるビルの1室で講座が開かれていた。3組の母子が受講し、うち1組はオンラインで参加した。

 「お尻を支えて、手首や手のひらに頼らず、腕全体で包み込んで」

 辻さんが重視するのは抱っこする人の姿勢で、前かがみにならないように助言。無理な姿勢だと、赤ちゃんが不安定な体勢になり、危険を察して泣きやまない悪循環に陥りがちだ。親も肩凝りや腰痛につながったり、疲れから産後うつの遠因になったりすることもある。

 辻さんは身ぶり手ぶりに、ユーモアを交えながら講座を進める。

 「腕の中で社長が座るような大きくてふかふかしたソファをつくる感じをイメージして」

 母親がそれぞれ取り組むと、最初は大きな声で泣いていた赤ちゃんが次第に穏やかな表情になり、やがて全員がすやすやと眠り始めた。

 「すごい、楽ちん。赤ちゃんを軽く感じる」。思わず母親の口から喜びの声が漏れる。

 神戸市の保育士(35)は、生後3カ月の長男と参加。育休前は仕事でも半年未満の乳児の世話をすることは少なかった。自らの出産で首が据わらない新生児の抱っこと初めて長時間向き合う。特に寝かしつけの際は苦戦の連続だが、まぁるい抱っこを学び、腕、上半身の力をうまく使うと負担が軽減することが分かったといい、赤ちゃんも心地よさそうだ。「下手に腕に力が入り過ぎて、腱鞘炎(けんしょうえん)になりかけていた。きょう学んだことを続けていきたい」

 辻さんは、多くの親が、肩から手にかけて腕に力を入れるべきと考えているとし、こうアドバイスする。「腕は背中、肩甲骨から伸びている。小鳥を守る鳥の翼と同じ。抱っこも、赤ちゃんを危険から守る意味がある。鳥のように力を抜いて優しくして」

■被災地でのケア機に提唱

 「まぁるい抱っこ」を提唱する辻直美さんの本職は看護師だ。最初に勤務した大阪・吹田市民病院の産婦人科病棟が、育児に関わるきっかけになった。

 その後は、災害現場で救命救急に当たるレスキューナースとして活躍。阪神・淡路大震災で現場を体験し、2004年の新潟県中越地震や11年の東日本大震災では避難所で親子のケアに当たった。

 どの避難所でも耳にしたのが赤ちゃんの大きな泣き声だ。「大人の不安が伝わって赤ちゃんは泣く。災害のような異常な環境下ではよく分かる」

 そんな経験を基に、母子の心が安定するような抱っこの方法を考え出したという。

 自らも2人の男の子を育て、病院退職後にフリーランスの看護師となってからは、全国の講演会で自らの考えを伝え続ける。16年には「育母塾」を結成して育児教室の講師を務め、まぁるい抱っこを理論化した著書「どんなに泣いている子でも 3秒で泣き止(や)み3分で寝る まぁるい抱っこ」(講談社)も出版した。

 「赤ちゃんが泣くのは、空腹、おむつの汚れなど『生理的要求』、不安を感じたときの『精神的要求』の2種類があるが、後者に気付かない親が多い」

 いま最も訴えたいのは親子の触れ合いの大切さだという。

 「赤ちゃんにとって泣き声は言葉。その意味をいかに受け止められるかが鍵になる。親子の肌が接する抱っこは、貴重なコミュニケーションの機会だということを忘れないでほしい」

総合の最新
もっと見る
 

天気(7月1日)

  • 35℃
  • 26℃
  • 20%

  • 37℃
  • 22℃
  • 20%

  • 37℃
  • 26℃
  • 20%

  • 38℃
  • 25℃
  • 20%

お知らせ