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 兵庫県内で2020年度に確認された障害者への虐待が143件に上り、前年度(104件)から4割近く増えたことが、県のまとめで分かった。法律に基づく通年調査が始まった13年度以降では過去最多といい、厚生労働省による全国調査の前年度比1・09倍より高い増加率。県は、虐待の可能性に気付いた場合の通報義務が浸透しつつあることに加え、新型コロナウイルス禍に伴う家族ら養護者や施設従事者のストレスの高まりも一因とみる。

 県が各市町からの報告などを基にまとめた。それによると、20年度に寄せられた通報や相談は前年度比199件増の583件。このうち虐待が認められたのは143件で、親やきょうだいら養護者による事案が101件(前年度72件)と7割を占めた。職場の雇用主らによるものも14件(同7件)あった。

 残る28件(同25件)は施設従事者らによる虐待で、詳しい状況の公表が障害者虐待防止法で定められている。20年度の加害行為の内訳は、身体的虐待が11件▽暴言などの心理的虐待が6件▽身体・心理の複合と性的虐待が各5件▽金銭を巡る経済的虐待が1件。被害者の障害種別では、重複を含めて知的障害者が25人で最も多く、身体障害者が8人、精神障害者が3人だった。

 主な原因は加害側の倫理観の欠如や支援の技能不足という。問題発覚後に廃止された放課後等デイサービス施設を除き、いずれの事業所も文書や口頭による指導を受けた。指定の取り消しや勧告などの措置はなかった。

 県障害福祉課の担当者は虐待が増えた背景について「コロナ禍で加害側、被害側双方のストレスが高まっていることに加え、施設や家が閉ざされ、外部の目が行き届きにくくなっているのではないか」と指摘。とりわけ家庭では「養護者自身が追い詰められたり、支援を求めていたりするケースも考えられる」とする。

 虐待防止に向け、県は施設従事者や市町の担当者向けに年10回の研修を実施しており、22年度もオンラインを併用しながら進めるという。(田中陽一)

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