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「反省が執筆のきっかけ」と著書を手にする早川利文さん=明石市内
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「反省が執筆のきっかけ」と著書を手にする早川利文さん=明石市内

 人為的ミス、検査不正、働き方改革、パワハラ…。職場の課題にどう向き合えばいいのか。その指針となる本「仕事に役立つ知恵-半世紀の反省から生まれた」が出版された。著者は、三菱電機に長年勤めた早川利文さん(70)=兵庫県明石市。現場に出向き、職場環境の改善に導いてきた筆者が伝えたいことは-。(松本寿美子)

 早川さんは1974年、三菱電機に入社。原子力部長や電力・産業システム事業本部電力技術部長を歴任し、系列の三菱電機プラントエンジニアリング社長を務めた。退職後はコンサルタント業を営む。

 講演依頼で最も多いのが「ヒューマンエラー(人為的ミス)を減らすこつ」という。「個々がミスのしやすさを自覚し、減らす工夫を習慣化すれば、持って生まれた性質と同じになる」と話す。現場で導入されるチェックシートには「現物を前に作業と同時にチェックすることが基本で、作成が目的になってはいけない。本質は品質確保、無事故無災害のため」と注意を促す。

 三菱時代、早川さんには感銘を受けた品質管理部門の先輩がいた。その人の現場だけ、不具合はいつもゼロ。観察すると、培った心得を部下に繰り返し伝えていた。問題の要因はなぜかを繰り返し考える、ヒヤリ・ハットを放置しない-。「浸透させるにはリーダーの言行一致が不可欠。部下はその部下に同じことを言うようになる」と説く。

 また、働き方改革が叫ばれるが「業務改善なき時間短縮は、ミスを誘発する働き方改悪」と手厳しい。

 退職後、安全や品質、心理学などの本を読むうち「現役時代に知っていれば未然に防げた問題もあった」との思いが募り、タイトル「半世紀の反省-」に込めた。巻末の用語集から事例をたどれる配慮もあり、職場で困ったとき、頼りになりそうだ。

 風詠社刊、265ページ。1650円。

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