全国的に新型コロナウイルス新規感染者数の下げ止まり傾向が続き、オミクロン株の派生型「BA・2」による第7波の到来が危惧されている。兵庫県内でも直近1週間を平均した1日当たり感染者数は、3月下旬の1600人台から、4月7日現在で約1800人へと増加。神戸大病院の宮良高維・感染制御部長は「第7波に入っていると考えてもいいかもしれない」と、警戒感を高めている。(井川朋宏)
オミクロン株(BA・1)の急拡大による第6波では、1~3月に県内で約25万5千人の感染を確認した。同時期の死者は702人で、死亡率は0・3%だった。最多だった第4波の死者数755人に近いが、当時の死亡率3・3%と比べ、大幅に低くなっている。高齢者の感染が少なかった第5波でも死者85人、死亡率0・2%だった。
宮良氏は、オミクロン株の病原性が低かったことに加え「ワクチン接種が普及したことが大きい。接種により、重症化が一定程度抑えられたからではないか」と述べ、現在進む3回目接種の意義を強調した。
県内では2月中旬から感染者数が下降局面となったが、直近1週間の感染者数は前週比で0・7~0・9倍で推移してきた。3月29日~4月4日は1倍をやや超え、微増している。BA・1が減っていくと同時にBA・2が増えているとみられ、第5波の後が0・5倍前後まで下がったのに比べ、減少スピードが緩い。神戸市の変異株検査では、3月28日~4月3日の1週間で、BA・2が疑われる割合が57%を占めてBA・1を上回り、置き換わりが進んでいるとみられる。
厚生労働省に助言する専門家組織によると、BA・2はBA・1に比べ、感染者1人から平均何人にうつるかを示す「実効再生産数」が26%高い。感染者から他の人にうつるまでの日数を示す「世代時間」も15%短いとされる。
今後のピークが第6波を上回る可能性にも触れた上で、宮良氏は「BA・2への置き換わりが進む中、感染者数は急増しておらず、そこまで増えないことも期待できる」と言う。ワクチン3回目接種の進展と、季節的に温度・湿度が上昇し、換気しやすくなることが感染抑制につながるとする。一方で、拡大の要因として人出の増加を挙げる。飲食の場についても「疫学調査でも感染しやすい場所であることが示されている」とし、拡大の起点となると指摘した。
過去2年は増加期となった春先を迎えるが、宮良氏は「飲み薬やワクチン接種が普及しており、これまでとは違う」とする。今後に向け「重症化リスクの高い高齢者を守る方策に注力すべきではないか」とし、高齢者施設や、認知症患者らが多い病院への対策強化を訴えた。
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