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都内で配られた9日付の各紙と地元・山梨日日新聞。東京新聞以外は実名で報じた
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 甲府市の夫婦殺害事件で、殺人などの罪で起訴された男(19)は改正少年法の「特定少年」として実名報道が可能となり、報道機関の多くが氏名を報じた。匿名とした社は少数で、顔写真の扱いやインターネット配信の対応は分かれた。ジャーナリズム論に詳しい専門家は「大人か子どもか、まだ社会全体で一致していない。必ずしも実名の流れが強まるとは言えず、試行錯誤が続くのではないか」と指摘する。

 今月1日施行の改正少年法は、18、19歳を特定少年として厳罰化し、禁止していた氏名や顔写真の報道も起訴後に可能とした。甲府の事件は、検察当局が起訴した特定少年の氏名を公表した初めてのケースで、共同通信は自社を含む在京の新聞、通信、NHK、地元の山梨日日新聞の計10社の対応を取材した。

 実名としたのは、朝日、毎日、読売、産経、日本経済、山梨日日、NHKなど9社。理由について、読売は「2人の命が失われた事件の重大性や社会的影響などを検討した結果」とし、山梨日日は「事実を検証し、類似少年事件が起きない地域づくりにつなげるためには、実名を共有することが必要と考えた」ことも挙げた。

 唯一匿名とした東京新聞(中日新聞)は、健全育成を目的とした少年法の理念を尊重したとして「改正後もこの考え方を原則維持する」と説明した。

 このほか、民放や地方紙も多くが実名を報じ、紙面で匿名としたのは河北新報(仙台市)、琉球新報(那覇市)の2社だった。

 在京紙など10社のうち、顔写真を掲載、配信したのは産経と共同の2社。インターネット対応では、毎日、読売、日経、山梨日日、共同の5社が有料サイトだけに氏名を公開した。毎日は「更生を重視する少年法の理念も踏まえ、ネット上で不特定多数が実名を見られる状態にすることは望ましくない」と回答した。

 専修大の山田健太教授(ジャーナリズム論、言論法)は、各社の対応について「複数人を殺害した行為や家裁の厳しい意見が反映され、実名報道すべきだと判断した社が多かったのでは」と分析する。

 一方、18、19歳は改正民法で成人とされたものの酒やたばこは禁止され、少年法でも特定少年として特例が適用されることから「位置付けがあいまい」とする。こうした状況が、ネット配信や顔写真掲載などで対応が分かれた理由とした。

 そのため、今回のケースで実名や匿名の流れは決まらず、「今後の議論や社会の受け止め方で徐々に目安のようなものができあがっていく」と予想。「社会の空気を後追いすることがメディアの役割ではなく、各社が自主性を持って判断していくことが重要だ。例えば、地元メディアなら地域にとって何が最善かなど、どういう社会をつくりたいかを考えていかなければならない」と話した。

     ◇

 神戸新聞社は9日付の紙面で顔写真を付けて実名で報道した。「事件の結果が重大で、社会に与えた影響も大きいことを踏まえ、実名で報じる必要があると判断しました」との見解を掲載した。

 一方、インターネット配信では、特定少年の立ち直りを重視する少年法の理念とネットの特性を考慮し、匿名(有料版のみ実名)とした。

【甲府の夫婦殺害事件】 甲府市の夫婦を殺害し住宅を全焼させたとして、甲府地検は8日、殺人や現住建造物等放火などの罪で男(19)を起訴。18、19歳を「特定少年」と規定し起訴後の実名報道を可能とした改正少年法施行を受け、初めて氏名が公表された。起訴状によると、当時も19歳だった男は昨年10月12日、男性会社員=当時(55)=宅に侵入、男性と妻=同(50)=をナイフで刺すなどして失血死させ、住宅に火を付け全焼させたなどとしている。山梨県警が殺人容疑などで逮捕した後、地検は12月8日から約3カ月間鑑定留置し家裁送致。甲府家裁は今年4月4日の少年審判で、検察官送致(逆送)を決定し、「反省や謝罪の態度が見られない」と理由を説明した。

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