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会見で研究員の待遇改善を訴える理研の組合員ら=東京都内
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 神戸・ポートアイランドにも事業所がある理化学研究所(本部・埼玉県和光市)の研究系職員約600人に雇い止めの恐れがあることが判明し、若手研究者の待遇に注目が集まっている。大学院で博士号を取得し、研究に従事する「ポストドクター(博士研究員、ポスドク)」は有期雇用で、将来の保証がない。非正規のまま年齢を重ねるケースも珍しくなく、「綱渡りの生活がいつまで続くのか」と悲痛な声が上がる。(末永陽子)

 理研の職員でつくる「理化学研究所労働組合」などによると、理研は職員の8割が非正規雇用。また研究系職員には10年の雇用上限があり、本年度末には、神戸事業所の職員を含む約600人が雇い止めとなる可能性があるという。

 「終身雇用で研究を続けられるのは数百人、いや数千人に一人では。夢のまた夢」。関西の大学で働く30代の男性研究員がぼやく。

 社会の役に立つ研究を、と全国の大学や研究機関でポスドクとして経験を積み、大学教員や国立研究所の研究職を目指してきた。だが、契約は長くて3年。切れるたびに30~40校に応募してきた。

 任期付きを理由に、銀行からの借り入れを断られた経験がある。同僚には非常勤講師として月数回の授業を担当しながら、月収が数万円の人も。「数年後の就職先を考えると、早く成果をと、常に焦りとプレッシャーがある」と明かし、「基礎研究は短期間に成果が出ないこともある。長い目での支援を」と求める。

 新型コロナウイルスの感染状況が落ち着けば、海外での就職も視野に入れる。「中国などは予算が巨額で、スポンサーも得やすいと聞いた。このままでは技術も人も海外へ流出するのでは」

 理研労組などは3月下旬、理研に雇い止めの撤回を求めるよう国に要請した。理研は「社会的な使命・役割を踏まえ、労組との協議を含め職員との対話を重ねていく」としている。

     ◇     ◇

■生活不安定、進む高年齢化 博士号取得者も減少傾向

 国は1990年代に大学院重点化政策を推進し、大学院生の数を倍増させた。だが学部生よりも年齢の高い大学院生の採用に企業は及び腰で、大学や研究機関のポストも増えず、路頭に迷う院卒者を生んだ。

 96年度からは5年間、雇用資金を大学に投入して「ポストドクター等一万人支援計画」を展開。有期雇用のポスドクこそ増えたものの、正規雇用増にはつながらなかった。文部科学省などによると、2018年度のポスドクは全国で約1万6千人。平均年齢は37・5歳で、高年齢化が進んでいる。

 経済的な不安定さは、学生に研究者への道を敬遠させる。博士後期課程への進学率は、00年度の16・7%から20年度には9・4%に減少。博士号の取得者数も、人口100万人当たりでみると減少傾向で、増加傾向にある英米など諸外国とは対照的だ。

 国は、博士課程の大学院生に生活費相当額の奨学金を支給する制度を整えたほか、企業への就職支援や大学教員採用増も打ち出し、支援の見直しを進める。

 ただ、現状は対策が追いついているとは言えない。関西の大学に勤める30代の男性准教授は「ポスドクは幅広い研究室に所属して視野を広げられる」と認めつつ、「社会保障を手厚くしないと、フリーターのような人が増えていく」と危惧する。

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