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食事を終えた後に送迎車に相乗りする利用者=豊岡市内
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食事を終えた後に送迎車に相乗りする利用者=豊岡市内
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 運転免許を持たない高齢者のちょっとした移動に、通所介護(デイサービス)事業所の送迎車を活用する実証実験が兵庫県豊岡市内で進められている。送迎車の「空き席」に相乗りしてもらい、スーパーや病院などに移送するサービス。公共交通機関の少ない地域で、「交通弱者」と呼ばれるお年寄りの移動手段として注目されている。(石川 翠)

 4月下旬の平日の昼、豊岡市日高町のすし店前に、「福祉モビリティ実証実験中」のステッカーが張られた軽自動車が停車した。近くのデイサービス施設「アンドリハ」の送迎車で、介護スタッフがハンドルを握り、助手席には施設利用者の高齢の女性が座る。

 しばらくすると、店で食事を終えた別の高齢女性2人が出てきて後部座席に乗り込み、車は発進した。15分ほど走行して助手席の女性を施設前で降ろした後、さらに10分ほどかけて後部座席の2人を自宅近くまで送り届けた-。実証実験「ちょい乗り500」の一コマだ。

 施設利用者を対象に、買い物や通院、教養・娯楽などの私用でも送迎車で目的地に移送する。事前に予約しておくと、自宅近くを通る送迎車が利用者を拾ってくれる=イラスト。原則、通所日以外に利用でき、料金は1回500円。帰宅時は別に予約する。

 介護保険は通常、施設と自宅の往復など決められた移動にしか適用されないため、施設利用者は送迎の途中でスーパーなど他の場所に立ち寄れない。また、バスやタクシーのような認可を得ず、施設の車が有償輸送することは道路運送法で禁止されている。

 「ちょい乗り-」はそうした制約の下、お年寄りの日常の移動ニーズに応える方策を探る。事業主体は、豊岡市がトヨタ自動車系の基金と共同で設立した「豊岡スマートコミュニティ推進機構」。地方都市が抱える課題を情報通信技術(ICT)で解決することを目的とし、2020年の設立時から取り組みを続ける。

 国土交通省近畿運輸局なども協議に関わっており、これからの地方交通のあり方を検討することを目的に実施許可を得た。アンドリハを運営する秋山一平代表(33)は「日中にまち中に出れば、すれ違わない日はないほど多くの送迎車が動き回っている。交通弱者の課題解決にうまく活用できたら」と話す。

 国の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」対象事業にも採択されており、今後は介護タクシー事業者などとも連携し、現在は通所者だけとされている利用対象者の拡大を目指す。秋山代表は「運転を任せられれば、介護職員の負担が減り、業界の働き方改革にもつながる」と意気込む。

■先進地ではスマホアプリで車探し

 豊岡スマートコミュニティ推進機構が先進事例として参考にするのは、群馬県高崎市の一般社団法人「ソーシャルアクション機構」のサービス「福祉ムーバー」だ。同市で広く介護事業所を運営してきた北嶋史誉代表(53)に聞いた。

 同機構は、送迎車両を使った移動サービスの実証実験を全国で初めて実施。送迎の効率化と交通弱者の足を確保する狙いで、2019年から今春までの間、多いときには近隣3県で25施設・約220台の車両を使用して検証した。

 利用者がスマートフォンの福祉ムーバーのアプリで行き先を選択すると、近くにいて目的地の方向が同じ送迎車とマッチングされる仕組み。利用者は送迎車を待つ間も、デジタル地図で車の現在地を確認することができる。

 既存のタクシー事業者の間で利用客を奪われるとの懸念が広がったが、「送迎の一部をタクシー事業者に委ねる形が実現すれば、双方にメリットがある」と、北嶋代表は強調する。

 現在は、実験結果を反映させたアルゴリズム(計算手法)を用いたシステム開発を進めている。北嶋代表は「人口や面積、信号の数など、地域によって環境が全く異なるため、ニーズに即した仕様にして、広く使えるようになれば」と話す。

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