新型コロナウイルス禍の影響で、都会で育児をする親が地方の親に比べて孤立感を深めている実態が、兵庫県川西市のNPOの調査で明らかになった。外出自粛などで、人間関係の希薄傾向が一段と強まった可能性があると分析している。(津谷治英)
コロナ禍での子育てについて、NPO法人「育ちあいサポートブーケ」が昨年秋にアンケートを実施。兵庫県在住の0~3歳未満児の保護者447人から有効回答を得た。
コロナ禍の受け止めについて、保護者の計98・5%が「(新型コロナの)感染が不安」とし、「親子だけの時間に息が詰まる」が計51・9%、「子どもにイライラする」が計50・5%と続く。また対策として「外出を控えている」が62・2%に上った。半数以上がストレスを感じており、育児に余裕がなくなり、孤立に悩む姿がうかがえた。
頼りになる存在では、計77・6%が「配偶者、パートナー」、次いで計75・4%が「親族」を挙げた=グラフ(1)。一方、「医師・看護師」「子育てひろばや児童館スタッフ」はいずれも計55・7%で、悩みを身内で抱え込む傾向が見られた。地域別に見ると、都市部の「阪神南」では「近くに頼れる親せき、知人がいない」が32・7%で、「但馬、丹波、淡路、北播磨」(13・7%)の約2・5倍に達した=同(2)。
一方、コロナ禍で進んだオンライン交流などデジタルサービスの利用について30%が「利用しない」と回答。「アプリやオンライン交流が充実すれば対面できる場や機会は不要になるか」との問いには、「あまり思わない」を含めて「思わない」が計95・3%を占めた=同(3)。
■監修した甲南女子大人間科学部の伊藤篤教授(子ども家庭福祉学)の話
オンライン交流は相手の顔が見えても育児部屋や服装など雰囲気が伝わらず、対面に比べて限界がある。調査結果を踏まえ、今後の支援対策は都会の保護者が孤立感を抱いている現状を考慮してほしい。支援団体や訪問員には相談窓口、交流拠点などの情報を丁寧に伝えていくこと、今まで以上に一人一人に寄り添うことが求められる。
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