実親と暮らすことが難しい子どもと里親をつなぐ「愛の手運動」が4日、1962年の開始から60年を迎える。公益社団法人「家庭養護促進協会」(神戸市中央区)が神戸新聞社などメディアと協力する全国でも例がない形で取り組み、家庭に迎えられた子どもは3月末時点で1328人に上る。里親らとともに、たくさんの新しい人生が開かれてきた。(中島摩子)
週末の夜。兵庫県尼崎市の自宅で、秋吉一恵さん(61)は夫(60)、大学1年の次女(18)、高校1年の息子(15)と食卓を囲んでいた。「小さいときはよく食べ、おなかがぷっくりだったね」。秋吉さんが次女の思い出話をすると、その場が笑いに包まれた。
児童養護施設の元職員の秋吉さんと次女が初めて会ったのは2004年。不妊治療で授かった長女を育てながら、協会の里親研修に参加し、里親を求める神戸新聞の長期連載「あなたの愛の手を」も毎回読んでいた。協会から紹介されたのが、乳児院で暮らす当時1歳の次女だった。
次女は5歳年上の長女とけんかをしたり、ピアノの練習に励んだり…。「当たり前に普通に暮らしてきた」と秋吉さん。小学生だったある日、「産んだお母さん、どんな人やろな」と尋ねられたことがある。「お母さんも幸せやといいね」と答えると、「そやな」と返ってきたという。
「いいときも悪いときも一緒にいる。そして家族になっていく」と秋吉さん。高校生の息子も2歳で乳児院から迎え入れた。「家族とは自分が自分でいられて、安心できる場所」。自身もそうした環境を築くことに心を砕いてきた。
そんな中で成長した次女が今春高校を卒業し、秋吉さんは胸を熱くしたという。「この出会いって、奇跡」-。愛の手運動でつながった縁を、そう表現する。
◇
「一緒にいる感じがするから」。育ての母の形見の指輪を、いつも身に着けているのは、神戸市中央区の会社経営の女性(46)だ。
乳児院で暮らしていた1歳のとき、「あなたの愛の手を」に掲載された。工務店を営む両親と祖父母に迎えられ、養子縁組をした。
既に鬼籍に入った4人は「私にとことん向き合ってくれた」。意見の違いがあれば、朝まで話し合ったという。「愛情をいっぱいもらった。私の心を育ててくれた」
子ども時代から友人にも恵まれ、女性は「私は幸せだった。養子に悲しい、暗いという先入観があるなら変えたい」と話している。
■本紙での連載2300回
「愛の手運動」は、家庭養護促進協会のケースワーカーが、神戸新聞の担当記者と、児童養護施設や乳児院で暮らす子どもに会いに行くことからスタートする。取材して連載「あなたの愛の手を」の記事が掲載されると、里親希望者から協会に連絡が入る。縁結びが動きだす瞬間だ。
制度としては、18歳未満の子どもを一定期間、家庭に迎え入れる養育里親や養子縁組里親、週末や夏休みに交流する季節・週末里親などがある。協会は里親と子どものマッチングのほか、里親支援や研修、啓発活動などに取り組む。
60年で連載はちょうど2300回に達した。一方、運動は資金不足に見舞われ、存続が危ぶまれたこともあったが、橋本明事務局長は「多くの人に支えられ乗り切ってきた」。近年は、虐待経験や障害がある子どもも少なくない。主任ケースワーカーの米沢普子さんは「里親の登録を増やし、出会いを増やしていきたい」と話している。(鈴木久仁子)
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