兵庫県が犯罪被害者支援に特化した条例の制定に向け、動き始めた。近年は交流サイト(SNS)で誹謗中傷を受ける二次被害や、被害者が広域にまたがる大規模事件への対応が求められ、被害者、遺族に寄り添う意思を県民と共有する狙いがある。
犯罪被害者支援に関する条例は県内各市町で定められ、今年4月1日の高砂市施行を受けて県内全41市町で整備が完了した。
県によると、既に39都道府県が犯罪被害者支援に関する事項だけを定めた条例を制定。兵庫県は「地域安全まちづくり条例」の中で被害者支援などについて規定していたこともあり、特化した条例は策定しておらず、県内の犯罪被害者らが整備を求め続けていた。
全国的に動きが広がる中で、今年3月に見直された「地域安全まちづくり推進計画」では、犯罪被害者と遺族を地域で見守り支えることをうたい、関連条例の制定を検討すると明記。斎藤元彦知事は23日の定例会見で、条例案について来年2月の県議会定例会に提出を目指す方針を表明した。
東京・池袋で乗用車が暴走した事故で妻と娘を亡くした遺族がSNS上で中傷を受け、昨年末に起きた大阪ビル放火殺人事件では、犠牲者26人の居住地は広範囲に及んだ。こうしたことから新条例では、SNSの二次被害防止や大規模事件が起きた際の支援体制などについて、メッセージを打ち出す方向で検討される見込みという。
また、今年5月には神戸連続児童殺傷事件で次男を亡くした土師守さん(66)らが斎藤知事と面会し、市町間で生じる支援の差を県条例で埋めることや、職員らへの研修、経済補償などの必要性を訴えた。
条例の在り方について県は7月1日に検討委員会を立ち上げ、土師さんら当事者や支援団体、学識者を交えて議論を進める。
県の担当者は「誰もが事件に巻き込まれる可能性がある。被害者、遺族に追い打ちをかけるような中傷は許されてはならないことを、県民と共有できる条例にしたい」と話す。県は条例の制定とともに、相談体制の拡充など必要な支援策についても検討するという。(篠原拓真、金 旻革)
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