兵庫県尼崎市にあった機械メーカー「クボタ」の旧石綿工場周辺で、住民の健康被害が発覚したクボタショックから間もなく17年になる。同社と被害者支援団体が公表するデータを見ると、これまでに住民と工場従業員らを合わせた石綿被害は600人を上回る。同社は工場の周辺に居住歴のある人らに救済金を支払っているが、1・5キロ圏内に限定。しかし、圏外でも被害が疑われるケースがあり、「1・5キロの壁」に阻まれた遺族は「同じ石綿疾病なのになぜ…」と憤る。(中部 剛)
支援団体の尼崎労働者安全衛生センターによると、工場周辺の被害拡大は収まらず、クボタに対し、この1年で新たに12人が救済金を請求し、累計398人になった(6月15日時点)。一方、クボタは昨年末時点で371人に救済金を支払っていることを公表。さらに同社従業員(退職者含む)の石綿疾病患者は246人(うち死亡222人)に及ぶといい、工場内外の健康被害は優に600人を超える。
被害者や支援団体が問題視しているのは「1・5キロの壁」。大阪高裁は2014年3月に「旧工場から300メートル以内のリスクが高い」とする判決を出したが、被害状況を調査した奈良県立医大の車谷典男教授(肩書は調査当時)は「中皮腫の発症リスクの上昇は旧工場の南南西2・2キロに及ぶ」との結果を公表。安全センターは「1・5~2キロに居住歴があり、石綿被害を訴える人は少なくとも5人」としている。
兵庫県明石市の青野いずみさん(65)もその一人。夫の清さんは、石綿疾病の胸膜中皮腫を発症し、08年に50歳で亡くなった。旧工場の南約2キロの地域に15歳まで住み、毒性の強い青石綿を同社が使用していた時期と重なる。石綿を吸い込むような仕事はしておらず、青野さんは「1・5キロで飛散が止まるわけではない」と旧工場からの石綿飛散を指摘する。
生前は国の石綿健康被害救済制度が適用され、医療費や月約10万円の療養手当を受給。ただ、生活保障にはほど遠く、貯金を切り崩して生活し、子どもたちは奨学金を受けて大学を卒業したという。
クボタの救済金は2500万~4600万円、労災補償は労働者本人への補償のほか、遺族に対する補償もある。同じ石綿被害であっても青野さんのように、クボタ救済金や労災が適用されない人は国の救済制度しかなく、その支援内容は格段に劣る。「今の救済制度では、残された家族はとても生活できない」と青野さん。安全センターでは遺族年金の創設など救済制度の拡充を求めている。
◇
アスベスト被害の救済と根絶を目指す尼崎集会が25日午後1時、尼崎市昭和通2、市中小企業センターで開かれる。クボタ旧工場の周辺被害の報告があるほか、兵庫医大名誉教授の中野孝司氏が「悪性中皮腫の病態と最近の治療法の解説」をテーマに講演する。無料。尼崎労働者安全衛生センターTEL06・4950・6653
【クボタショック】2005年6月29日、機械メーカー「クボタ」が、尼崎市の旧神崎工場従業員ら78人が、石綿が引き起こすとされるがん、中皮腫で亡くなっていると発表した。翌30日、工場周辺に居住歴がある一般市民3人が健康被害を告発。その後、住民被害が次々に明らかになった。この問題をきっかけに国は石綿健康被害救済制度を設けた。

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