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今春から実家を離れて暮らす清崎鈴乃さん。「家の中が静かで、何をしたら良いのか戸惑っています」=西宮市内
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今春から実家を離れて暮らす清崎鈴乃さん。「家の中が静かで、何をしたら良いのか戸惑っています」=西宮市内
今春から実家を離れて暮らし始めた清崎鈴乃さん。「家の中が静かで、何をしたら良いのか戸惑っています」=西宮市内
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今春から実家を離れて暮らし始めた清崎鈴乃さん。「家の中が静かで、何をしたら良いのか戸惑っています」=西宮市内

 家族の介護や世話を日常的に担う18歳未満の子どもたち。いわゆる「ヤングケアラー」の支援は、今回の参院選でも各党が公約に掲げ、論点の一つになっている。ただ、その存在と深刻さが知られるようになったのは最近だ。ようやく政治課題になったことを本人たちはどう受け止めているのか。(堀内達成)

 「私って支援される存在だったの? そんな戸惑いは今もあります」

 兵庫県尼崎市の清崎鈴乃さん(22)は笑顔を見せつつ、そう話した。

 知的障害を伴う自閉症の弟、陽斗さん(19)の世話を小学生のときから担ってきた。大阪市内の実家で母と弟、妹の4人暮らし。陽斗さんは聴覚過敏で、少しでも泣き声や怒声が聞こえるとパニックになる。

 母が仕事で忙しいときは弟を風呂に入れ、パニックになると寄り添った。高校では部活と勉強、家のことで布団に入るのが深夜になることもあった。

 でも、弟のことは好きだし、ケアすることに肯定的な気持ちもあった。だから「支援」という言葉には「抵抗もある。上下を生みやすい言葉やな、と思います」。

 家計を助けるためにアルバイトをするなど、経済的に苦しいヤングケアラーは多いから、政治や行政が目を向けるのは「一歩前進」と受け止める。「ただ、一人一人、事情は異なる。家族の介護を続けたい子もいる。機械的に制度を作るだけではなく、ケアをしながらその子らしい人生を歩むにはどうすればいいか、という視点も必要では」

   ◇

 清崎さんは、常に気を張って生きてきた。ひとり親家庭の母がもっと楽になれたら。気軽に福祉制度が使えたら…。弟や家族はどのように見られているのかと、社会の視線に敏感で「もっと生きやすい世の中になれば」と願ってきた。選挙では、そんな思いを一票に託してきた。

 同世代の多くはしかし、政治に無関心。「政治の話になると、将来は年金がもらえないとかネガティブな話題ばかり。話したくないし、考えたくないのも分かる。未来に希望を描きにくい社会になっている気がします」。それでも、自ら行動しないと何も変わらない、とも思う。

 今春大学を卒業し、尼崎市内のNPO法人に就職した。障害者の暮らしを支えるヘルパーとして働く。

 1人暮らしも始めた。弟のことは気にかけつつ「人生の軸を自分に寄せていきたい」。参院選は、自分に身近な福祉の観点から投票先を決めるつもりだ。

小学6年生でも15人に1人

 厚生労働省と文部科学省が2020年12月~21年1月に初めて行ったヤングケアラーの実態調査によれば、「世話している家族がいる」と答えた中学生が約17人に1人、高校生が約24人に1人いた。その後の厚労省の調査では、小学6年でも約15人に1人いることが分かった。

 ヤングケアラーが孤立しないよう、早期発見のための教職員向け研修や、交流サイト(SNS)を活用した相談体制の整備など各地で対策は進む。しかし、家庭内の問題で外部の目が届きにくい上、本人に自覚がない場合も多く、表面化しづらい。学校や自治体だけではなく、民間団体の役割も期待される。

 清崎さんは3年前、障害者のきょうだいがいる学生らが語り合う場がほしいと「かるがも~きょうだい児の会~」を設立。当事者の声を行政に届け、支援策を提案する「子ども・若者ケアラーの声を届けようプロジェクト(YCARP)」にも加わる。

 「小さな妥協をたくさん重ねてきた人生。活動を通し、過去の自分と向き合っている。埋もれてきた声をすくい上げ、社会に届けたい」と話す。

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