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姫子が暮らしたゾウ舎。後継がやって来る可能性は低い=姫路市本町
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姫子が暮らしたゾウ舎。後継がやって来る可能性は低い=姫路市本町
元気だったころの姫子。市民のアイドルだった=2019年12月、姫路市本町
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元気だったころの姫子。市民のアイドルだった=2019年12月、姫路市本町

 姫路城の敷地内にある姫路市立動物園(兵庫県姫路市本町)で、アイドル的存在として市民に親しまれたアジアゾウの「姫子」が息を引き取って間もなく2年になる。初代と2代目が約70年にわたって暮らした場所にはゾウ舎が残るが、後継を迎えるのは困難だという。その理由を尋ねると、ゾウの飼育環境を巡る国内の潮流に加え、国の特別史跡にある「お城の動物園」ならではの事情があるようで-。(田中宏樹)

 「在りし日の姿が目に浮かぶ。やっぱり寂しいね」

 2代目・姫子が26年暮らしたゾウ舎の前で同園の安井聖二園長(59)がそっとつぶやいた。獣舎内には今も、サクラの下で鼻を高く上げる元気な姫子の写真が飾られている。

 1951年の開園時から飼育していた初代が死んだ後、2代目は94年10月に仲間入りした。繁殖のため別の動物園に貸し出された時期もあったが、足にできた腫瘍が原因で2020年10月に衰弱死するまで、大半を姫路で過ごし市民に愛された。

 姫路にもうゾウは来ないのか-。姫路城大天守のお膝元でゾウが暮らす光景が日常となり、市民からは寂しがる声も聞かれる。だが、「今の場所にゾウがやって来る可能性は低いだろう」と安井園長。理由の一つは、日本動物園水族館協会(JAZA)が21年3月に示した飼育基準だ。

 JAZAはアジアゾウの飼育環境について、加盟施設へ「新たに導入する場合は複数頭での飼育が必要」と通知。野生環境に近い群れでの飼育や、1頭当たり500平方メートル以上の十分な飼育スペースを確保することを求めた。

 背景には、ストレスの少ない環境で飼育する「動物福祉」への意識の高まりがある。ゾウを輸出するインドやミャンマーなどは日本の園の飼育環境や医療体制に厳しい目を向けているといい、JAZAの担当者は「指針を出さざるを得なかった」と明かす。

 1頭飼いのゾウが死んだ場合、新たにゾウを飼うには獣舎の増改築が必要になる。全国では、おびひろ動物園(北海道帯広市)はJAZAの指針がネックになり、新しいゾウの飼育を諦めたという。徳島市が運営する動物園も後継のゾウを迎えられないでいる。

 姫路市立動物園ではさらにハードルが高い。「国の特別史跡」という立地が大きな壁として立ちはだかり、ゾウ舎の改築が簡単にできないためだ。同市文化財課によると、史跡内は地下に埋まる遺構を保護するため、建物の新築や増築に文化庁の許可が必要となる。ゾウ舎の拡大が認められる可能性はほぼないという。

 「国外から理解を得られる飼育施設の整備には多額の費用がかかる」とJAZAのアジアゾウ計画管理者で大島公園動物園(東京)の乙津和歌さん(46)。昨年末時点で国内には82頭のアジアゾウがいるが、「大規模な園しか対応できなくなり、将来的に飼育する動物園は減っていくだろう」と説明する。

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