共用のオフィス、キッチン、スタジオなどを備えた複合施設が兵庫県豊岡市に登場した。もともとは円山川沿いのモーテルだった建物を大幅に改修。客室と階下のガレージの構造をそのまま残して宿泊施設からビジネス支援拠点に転換した。起業や新規事業の立ち上げを検討する個人、企業などの利用を見込む。運営メンバーは「パソコンを使うビジネスマンが集うコワーキングスペースというより、手や体を動かして創作する場に適している」と話している。(石川 翠)
新しい複合施設はその名も「シェア」。数年前までモーテル「リバーサイドイン豊岡」だった建物が、シェアオフィスに生まれ変わった。
2階建てで、9室を備える。かつての「1号室」と管理室だった場所には、1階にエントランスとシェアキッチンを整備した。フライヤーや製氷機などを完備した業務用の大型キッチンで、飲食店の開業や新メニューを検討する人の試作に活用できる。料理教室や調理のライブ配信なども可能だ。
営業許可を取得しているため、調理した商品を販売することができる。2階は会員制のコワーキングスペース「ラブトヨオカ」。プリンターやデスクトップパソコンも利用できる。
2階にある残りの8室は約30平方メートルのレンタルスペースに改装した。防音のため、撮影や収録、稽古などのスタジオとしても活用できる。事務所などにも賃貸しが可能。各室の1階ガレージは、工具を使用するDIY(日曜大工)などの用途に貸し出す。
不動産管理や内装工事を手がける「プレイ」(豊岡市)の安積英樹さん(46)が「アメリカのモーテルみたいでかっこいい」と、新たな拠点に利活用しようと購入した。市街地の古い建物を地域の交流拠点に再生するなどしている建築関係の小山俊和さん(44)と松宮未来子さん(37)、デザイン会社経営の岡田将嘉さん(45)らの協力を得て改修してきた。
新施設の運営には司法書士や税理士、中小企業診断士など多様な業種の人が関わっており、「起業や新規事業の法的なサポートもできる」とする。
豊かな自然など地元の魅力に改めて気づいたという安積さんは大阪市在住。出身地の豊岡と行き来しながら生活しており「今後、2拠点生活を送る人が増えていくだろう。新しいことに挑戦する人を応援できる場になれば」と話している。
会員料が法人2万2千円(1カ月)、個人5500円(同)。一般利用料金は1時間2200円。車中泊やバーベキューのできるスペースもある。詳細はホームページで。
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