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神出病院事件について専門家らが意見を交わした精神保健福祉専門分科会=神戸市中央区八幡通4
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神出病院事件について専門家らが意見を交わした精神保健福祉専門分科会=神戸市中央区八幡通4
神出病院=神戸市西区神出町
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神出病院=神戸市西区神出町

 精神科病院「神出病院」(神戸市西区)で看護師らが入院患者を虐待していた事件で、昨年5月に2例目が発覚した以降も計5件の虐待があり、病院が神戸市に報告していなかったことが分かった。14日夜に開かれた精神保健福祉専門分科会で市が明らかにした。

 事件では2020年3月に看護師ら6人が、精神疾患のある入院患者への準強制わいせつ容疑などで逮捕された。21年5月にも別の看護師が患者に軽傷を負わせ、傷害容疑で書類送検。市は改善命令を出し、不適切行為は市に通報するよう指導していた。

 5件の虐待は、病院が設置した第三者委員会の調査報告書を受けて今年4月に市が把握した。関わったのは看護師2人と准看護師1人。うち1人は主任看護師で、食事中に起きなかった患者の頬を複数回たたくなど3件の虐待行為をしたという。

 ほかに別の看護師が誘導を無視した患者に「お前、日本語わからんのか」と怒鳴った心理的虐待もあった。院長が把握していたケースもあったという。市はこれまでに臨時実地調査を2度行い、改善を求めた。

 一方、市は21年11月~22年4月に兵庫県精神保健福祉士協会とともに全入院患者に聞き取りを実施。調査ができた241人のうち、退院を希望したのは111人(46%)、転院は6人(2%)だった。事件を理由に挙げた患者はいなかったという。入院期間が10年以上の患者が44人おり、最長は55年と長期入院の問題も浮き彫りとなった。

 神戸市市民福祉調査委員会の精神保健福祉専門分科会では、市立医療センター中央市民病院精神・神経科の松石邦隆部長が「再発防止の前に、知識や技術がない医師や看護師を大幅に入れ替えないと変わるのは無理ではないか」と指摘。当事者や家族会からも「なぜ今も経営を続けられるのか。業務停止すべきだ」と厳しい声が飛んだ。(小谷千穂)

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