今年4月、改正少年法が施行された。18、19歳は新たに特定少年と区分されて「厳罰化」されたが、若者の立ち直りを重視し、20歳未満の事件を全て家庭裁判所に送る仕組みは維持された。その家裁で少年少女と面接し、生い立ちや家庭環境といった非行の背景を探るのが家裁調査官だ。調査で彼らが出会う「ありふれたち非行少年たち」の姿とは…。
夜。50代の男性調査官トオヤマは、コンビニの前でたむろする若者たちを見て、ショウタを思い出す。
14歳の男子中学生だった。母は家を不在にしがちで、おばあちゃん子に育った。体の悪い祖母の手伝いを進んでする優しい性格。学校では慕われていた。
始まりは部活での後輩とのトラブルだった。ショウタは後輩の「生意気な態度」に怒ってけがをさせ、居心地の悪さからか、練習に顔を出さなくなった。
ショウタが学校に行っていたのは部活のためだけだった。授業はよく理解できずに座っているだけ。非行で家裁に来る中高生たちが「分数の計算ができない」「筆算が怪しい」と漏らすことがあるが、ショウタもそんな感じだった。
学校の代わりに行くようになったのが地元の公園だった。そこでたむろする「先輩たち」と仲良くなった。皆が1、2歳年上だった。
ある時、ミニバイクを持つ先輩がショウタに言った。「乗ってみ?」。試しにまたがり、ハンドルを握る。「うまいやーん」。褒められ、爽快だったに違いない。先輩たちと無免許で集団暴走をするようになり、家裁にやってくるまで時間はかからなかった。
調査を担当したトオヤマは「一緒にいれば食事をおごってくれる。原付を勝手に借りても許してくれる。年長者によくなついていた」と振り返る。ショウタは面接で先輩への不満やいらだちを見せなかった。穏やかな表情が印象的だった。
■
思春期の少年、少女は心身共に劇的な変化にさらされる。たとえ家庭環境が安定し、過去に問題行動がなくても、ふとしたきっかけで非行に走る可能性がある。
学業の遅れ、感情抑制の失敗、人間関係のトラブルなど背景はさまざま。発達障害などが見過ごされ、問題行動につながることも。いずれにせよ、家庭や学校に居場所がない子どもほど危うい。
トオヤマは「そういう子にとって、放課後のショッピングセンターやコンビニ、公園が数少ない『社交場』なんです」と話す。非行リスクの高い子どもたちはおのずから合流していく。
2021年版犯罪白書によると、少年のみの刑法犯事件での共犯率は約25%。成人のみは12%で、高い共犯率が少年事件の特徴の一つだ。現場の調査官たちは非行少年の集団は「大人のように金銭を得るために共犯関係となるケースは少ない」と口をそろえる。
金銭以外の何かを求めて、今夜も10代が町をぶらつく。=文中仮名=
(那谷享平)
【家庭裁判所調査官】少年事件で、当事者の少年を調査する国家公務員。裁判官が少年審判で適切な少年の処遇を決定できるように、心理学や教育学などの知識も生かして非行の背景を調べる。捜査機関の捜査とは異なり、調査は本人や保護者の面接や関係先への情報収集などで、審判も少年の保護と更生を目的とする。離婚や親権争いなど家事事件の調査も担当する。
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