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日本一を目指して稽古に打ち込む小学生剣士ら=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
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日本一を目指して稽古に打ち込む小学生剣士ら=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
額に汗をにじませながら、鋭いまなざしで素振りをする子ども=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
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額に汗をにじませながら、鋭いまなざしで素振りをする子ども=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
指導に熱が入る阿部盛治道場長(中央)=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
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指導に熱が入る阿部盛治道場長(中央)=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
熱中症対策で頭や首筋を冷やす=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
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熱中症対策で頭や首筋を冷やす=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
道場の開設時から掲げられている道場訓=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場
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道場の開設時から掲げられている道場訓=加古川市西神吉町宮前、印南剣道場

 兵庫県東播地域に、全国大会の常連として知られ、子どもたちが技を磨く剣道の道場がある。1980年に開設された「印南(いんなみ)剣道場」(加古川市西神吉町宮前)は、これまでに200人以上が卒業し、中学生から社会人までが各大会で活躍している。「日本一」を目標に、日々猛稽古に励む小学生剣士らに迫った。(門田晋一)

■剣士の顔に

 ドン、ドン、ドン…。7月中旬の午後6時、稽古の始まりを告げる太鼓が12回鳴り響いた。

 「円になって!」。斉藤悠菜主将(12)=高砂市立荒井小6年=が号令をかけると、胴着姿の小中学生20人が道場の中央に集まった。準備体操を終え、道場長の阿部盛治さん(49)の前に並んで正座した。

 「用意、始め!」。阿部さんの合図に、子どもたちは座ったまま縦横15センチの白い紙に印刷された的を両手で持ち、じっとにらんで精神統一。続いて黙想。数十秒後、阿部さんが1回手をたたくと、子どもたちは目を開いた。顔からはあどけなさが消え、剣士のりりしい顔つきになった。

 素振りや足運びの練習後、防具を身に着けた。2人一組になり、左右の面の切り返しで前後に移動する基本稽古が始まると、道場は熱気とバチバチと響く竹刀の音に包まれた。

■気迫を前面に

 子どもたちは、面の中で汗を光らせる。「メーン」と叫びながら、相手に強く踏み込んで面打ちを繰り返す。竹刀を打ち付ける音をかき消すように阿部さんが激しくハッパをかけた。

 「日本一になるという思いを前面に出せよ!」

 剣道の試合のルールを定めた剣道試合審判規則では、有効な攻撃を「充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする」と規定する。つまり1本を取るためには、心技体のどれも欠かせないということだ。

 稽古では、技はもちろん、所作に相手を倒す気迫がこもっているかどうかを、阿部さんのほか妻裕紀子さん(49)、越野敦さん(47)=三木市=ら指導陣が目を光らせる。

 阿部さんの言葉に子どもたちは声を合わせて「ハイ!」と答え、気合を入れ直した。「メーン!!」。腹の底から力強い声が出るようになり、竹刀の軌道や足運びが鋭くなった。

■へたりこんでもなお

 数十秒間連続で素早く技を繰り出す「かかり稽古」は、指導陣らが受け手になる。子どもたちは果敢に挑むが、隙を見せれば激しく打ち込まれ、吹っ飛ばされる。回数を重ねるごとに動きが鈍くなっていく。

 大塩真衣さん(10)=高砂市立北浜小5年=はへたりこみ、吉田絆さん(11)=加古川市立東神吉小6年=は膝から崩れた。

 肩で息をしながら面を取り、首筋を氷で冷やして口に水を含む。再び竹刀を握る2人。「日本一を目指しているのに休んでいられない」と口をそろえた。「イヤァーッ」と気迫に満ちた声を上げ、再びきつい稽古に戻った。

■全ては剣道のために

 2時間半の稽古が終わった。正座で整列した子どもたちを前に、阿部さんは「学校や家での生活も、全て剣道の修業につながっている。勝つためには何が必要か、しっかり考えて過ごしてほしい。そして人を思いやる気持ちは、勝つために大切なことだ」と呼びかけた。

 次に4カ条の道場訓を吉田さんが読み上げた。ほかの子どもたちも続けて声をそろえた。

 「お父さん、お母さんを大切にします」

 「礼儀を正しくします」

 「一生懸命勉強します」

 「友だちと仲良くします」

 最後は見守る保護者に、感謝を込めて一礼した子どもたち。頭を上げるとすがすがしい笑顔が並んだ。

東播
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