女性として初めて将棋の棋士編入試験に臨む里見香奈女流四冠(30)=女流王座、女流王位、女流王将、倉敷藤花=が6日、関西将棋会館(大阪市福島区)で会見し、「純粋に将棋が大好きなので棋力向上のために強い人と対局したい。そのために、自分が後悔しない選択をした」と、棋士を目指す道を選んだ理由を語った。
将棋の「棋士」と「女流棋士」は制度が異なり、これまで女性の棋士は誕生していない。棋士になるには養成機関の奨励会を突破する道と編入試験に合格する道があり、今泉健司五段(49)と折田翔吾四段(32)が現行制度の編入試験を通過して棋士になった。
里見女流四冠は2011年に奨励会入りし、最終関門の三段リーグにも在籍したが、年齢制限によって18年に退会した。しかし今年5月、棋士との直近の公式戦成績を10勝4敗として、女性で初めて編入試験の受験資格を満たしていた。
編入試験は棋士になった時期が新しい5人の四段と1カ月に1局ずつ指し、3勝すれば棋士になれる。8月に始まる対局に向けて「自分の実力からすると厳しい戦いになると思うが、できる限りの準備をして全力で臨みたい」と意気込みを述べ、「対局相手ごとに対策を立てるというより、自分が力を出し切れるように戦いたい」と語った。
会見で「将棋の世界では現状、(力量に)男女差があると思うので、少しでも埋められるようにしたい」とも語った里見女流四冠。女性初の棋士誕生に期待が集まることについて「大変うれしいのと同時に、女性初ということが珍しくない社会になればいいとも思う」と語り、「私自身は目の前の対局に精いっぱい取り組みたい」と述べた。
里見女流四冠は1992年、島根県出雲市生まれ。女流タイトル獲得数は歴代最多の48を誇り、編入試験に合格した場合は棋士と女流棋士を兼ねられる。会見では、兼ねることに前向きな気持ちを示しつつ、「合格したら考えたい」と述べた。(井原尚基)
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