■着手3日前
携帯電話が突然鳴った。
土師淳君=当時(11)=の遺体が発見されてから約1カ月後。6月25日の午後6時半だった。神戸地検で事件の主任検事を務めていた男性(69)=現在は弁護士=が耳を当てると、兵庫県警捜査1課で捜査本部を取り仕切る調査官の低い声が聞こえてきた。
ちょっと話したいことがあります、と言われて。地検裏の弁護士会館の前で待ち合わせて、近くの喫茶店で話しました。神戸新聞に送られた犯行声明文とか筆跡鑑定書とか持っていてね、「これでいきたいんですが」と一人の名前を挙げたんです。それが「少年A」だった。それまで全く聞いていなかった名前です。「何だって」という感じはありましたが、調査官は丁寧に説明してくれました。主任検事は(地検の)上司に報告せざるをえなくなって、保秘の板挟みになる可能性があるので報告しなかったと。「よくぞだましてくれた」と怒りませんでした。完全にやられました。
県警は、少年Aに任意同行を求める6月28日に向け、ひそかに準備を進めていた。当時県警の刑事部長だった深草雅利さん(69)は、検事に伝える4日前、21日に方針会議を開いたと覚えている。任意同行まで1週間のタイミングだった。
■刑事の思い
女児2人がショックレスハンマーで殴られた「2月事件」、山下彩花ちゃん=当時(10)=が亡くなり女児1人が重傷を負った「3月事件」、そして淳君が殺害された「5月事件」。会議では、それぞれの捜査の裏付け状況が確認された。深草さんは「現場の刑事は、まず5月事件での逮捕を望んでいました」と語る。「でも直接証拠がほとんどなかった。もし3事件とも否認されたら、いったん帰して、家宅捜索して裏付ける証拠を見つけた後、もう一度勝負しようということになったんです」。誰もが「少年A」で間違いないと思っていたが、彼は14歳。慎重に協議した。
一方、県警サイドからの突然の任意聴取の打診を、主任検事はどう聞いたか。
うれしさも不安もなかったです。淡々としていましたね。捜査の説明を聞いて納得しましたし、筆跡を見て間違いないだろうという気がしました。でも僕は(Aに)会っていないから。最後に決めるのは、自分だと思っていました。
事態は一気に動いた。県警の正式な報告を受け、地検トップの検事正の部屋で「御前会議」が開かれ、ゴーサインが出た。Aに任意同行を求める「Xデー」は、両親も在宅している可能性が高い土曜日。そして記者らが動き出す前、午前7時の着手が決まった。
報道各社には漏れていなかった。Aが任意同行された6月28日午前、台風8号が九州に上陸し、兵庫でも警戒感が強まっていた。だが、その夜に飛び込んだ「中3逮捕」のニュースは、台風以上の衝撃を全国に与えた。(霍見真一郎)
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