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釣りざおやフローティングベストの技術を応用した介助器具=西脇市上戸田
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釣りざおやフローティングベストの技術を応用した介助器具=西脇市上戸田
介護用品に応用したがまかつの釣りざおと救命胴衣(同社提供)
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介護用品に応用したがまかつの釣りざおと救命胴衣(同社提供)

 釣り具製造販売の大手がまかつ(西脇市)が、釣りざおや救命胴衣を応用した介護用具を開発した。自立が困難な高齢者らの排せつ動作を助け、トイレに立ち会う介助者を減らせる。商品名は「サットイレ」で、同社は「排せつをそばで見守る必要がなくなり、高齢者の尊厳を守ることにつながる」とする。

 福祉やリハビリテーション機器を研究する県の機関「福祉のまちづくり研究所」(神戸市西区)からの呼びかけで開発。経済産業省の「ロボット介護機器開発・標準化事業」に採択され、今春発売を開始した。

 機器は体を支える2本のアームと、体重を預ける体幹支持具で構成される。アームは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を筒状に加工したカーボンパイプ製。釣りざおの素材に近く、高い強度としなやかさを持つ。ひもで支える従来のハーネスに比べて安全に支えられ、体のふらつきにも対応できるという。

 体幹支持具には、釣り人が着用するフローティングベスト(救命胴衣)に使われる摩擦に強いナイロンを応用。利用者は車いすに乗ったまま上半身の体重を支持具に預け、介護者がリモコンでアームを上昇させて体全体を持ち上げる。

 同社の試験では介護者の腰の負担が67%、脚の負担が75%軽減されることが確認された。利用者は支えられながら少しでも歩くことで、下半身の機能維持にもつながる。これまで2~3人必要だった介護者が1人で済み、体のふらつきを抑えられるため、トイレ内でも排せつを見守る必要がなくなる。

 機器は耐荷重80キロだが、全体重がかかるわけではないため、利用者の体重は100キロ以上でも問題ないという。設置の際はトイレの個室に金属製フレームでやぐらを組み、天井部分に機器を固定する。

 西脇市上戸田の老人保健施設「しばざくら荘」では7月下旬、機器を使った実演会があり、同社の社員が職員に使い方を説明した。操作を体験した介護職員は「これなら1人でも介助できそう」と喜んだ。

 本体価格は105万円、フレームは約30万円。既に神戸市と高知市の高齢者福祉施設に納入され、7月からは西脇市のふるさと納税返礼品(700万円以上)として取り扱われている。同社新規事業部TEL0795・39・0618

(伊田雄馬)

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