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市営住宅の集会所で日本語を学ぶウクライナの人たち=神戸市北区
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市営住宅の集会所で日本語を学ぶウクライナの人たち=神戸市北区
市営住宅に入居したウクライナの親子ら=神戸市東灘区
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市営住宅に入居したウクライナの親子ら=神戸市東灘区

 ロシアのウクライナ侵攻から24日で半年。出口が見えず長期化するなか、兵庫県内に避難しているウクライナ人は39組83人(兵庫県調べ、23日時点)に上る。長引く避難生活で課題は増え、さまざまなNPOや企業が支援に奔走する。得意分野は多岐にわたっており、各団体が連携に向けて動き始めている。

(小谷千穂)

 「わたしは、ウクライナからきました」

 8月上旬、神戸市北区の市営住宅にある集会所で、日本語教室が開かれた。

 この住宅にはウクライナ南部の港町オデッサを拠点にするバレエ団やその家族ら8世帯14人が身を寄せ、教室には高齢者から子どもまで全員が参加した。

 14人は4月ごろに来日したが、神戸市が設けた無料の日本語教室は中心部の三宮。市営住宅からの交通費は往復で千円を超える。将来の生活に不安があり、節約のため約3カ月間、教室には通えずにいた。

 このため、「家の近くで習いたい」と相談を受けた国際協力団体「PHD協会」(同市長田区)が7月末、出張で日本語教室を開始。地元の北区社会福祉協議会が教科書を贈った。

 アレキサンダー・ペトリックさん(28)は母国でトレーナーやエンジニアの仕事をしていた。「早く日本語が話せるようになって、仕事を探したい」と、学んだばかりの言葉を必死でノートに書き写した。

 同様に、支援拠点がある市中心部に通うには不便な地域に入居せざるを得なかった避難者は多い。

 事情を知った神戸市社会福祉協議会は8月、独自に募った支援金(7月末時点で約314万円)の最初の配分として、避難者に2万円分(小児は1万円分)のICカード乗車券「ICOCA(イコカ)」の配布を始めた。

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 長期化を見越した動きも出ている。「冬支度まで視野に入れて動かなければ」と話すのは一般社団法人「日本避難所支援機構」(JSS、同市長田区)の金田真須美事務局長(63)。阪神・淡路大震災以後、全国の被災地で活動する団体「チーム神戸」の代表でもある。

 ダンボールを机代わりにしていたり、掛け布団の上に寝ていたり、住環境が整わない家族の支援に力を注いできた。

 まだ暑さが厳しいこともあり「彼らは秋冬の寒さまで考えられていない」と金田さん。避難先の市営住宅にはガスファンヒーターや電気毛布、台所用の瞬間湯沸かし器といった暖房器具がなく、冬服も用意できていないという。

 金田さんは「行政の支援の隙間を埋めていきたい。眠っている暖房器具などがあれば有効活用させてほしい」と呼びかける。取り付け費用などに使う寄付も受け付ける。

 振込先は三井住友銀行長田支店、普通7828073、口座名義「一般社団法人 日本避難所支援機構」。同機構TEL090・3429・5588

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■避難者支援 ふるさと納税の寄付額が6千万円超 兵庫

 ウクライナからの避難者を支援するため、兵庫県が呼びかけたふるさと納税の寄付額が6千万円を超えた。このうち生活支援金などの支給額は計1776万円に上る(23日時点)。ただ、避難が長期化する中、必要な財源の規模が読めない状況という。

 国の支援策が具体化しない中、県はふるさと納税を活用した支援を全国に先駆けて計画。1年間で最大214万円の生活支援金の支給のほか、通訳などの日常生活支援をしている。

 県国際課によると、19日時点で22世帯に支給。公営住宅に入るまでの宿泊など一時滞在支援に114万円▽生活用品の購入などに使う一時金支援に1050万円▽食費、光熱水費、共益費などの支給に612万円-という。

 兵庫県は39組の避難を把握しているが、支給対象は公営住宅の入居者を原則にしているため、家族や知人の家に身を寄せたり、民間アパートに住んでいたりする避難者には支援金が届いていない。支給額などが違う日本財団の支援に移行する避難者もいるという。

 県や各市町は公営住宅の無償提供も続ける。6世帯が暮らす県営住宅は当初、6カ月の入居期限だったが1年間に延長した。

(高田康夫)

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