犯罪事実だけ立証すればいい、という問題じゃなかった。心の動きを持ってこなきゃいけないわけだから。彼が生まれて14年間の軌跡をたどらなきゃいけない。少年事件で一番重要なのは、なぜやったのか。そこを彼自身が理解しないと、更生には向かわない。
■好きな人は
1997年の神戸連続児童殺傷事件で、神戸地検の主任検事として「少年A」を調べた男性(69)=現在は弁護士=が課せられたのは、刑罰を科すための立証とは異なるアプローチだった。裁判所に認められた期間内に、Aの「心の闇」を解き明かす必要があった。
終始、淡々とした口調でした。家族関係を聞く中で「好きな人は誰だったんですか」って尋ねたら、両親じゃないんだよね。おばあちゃんだって言う。「今はどうしているんですか」って聞いたら、「もう死んだんです」と。
Aは当時、神戸市須磨区のニュータウンにある一戸建てで、両親や弟に加え、祖母とも同居していた。慕っていた祖母は、事件の4年前、Aが小学5年の頃に亡くなった。
「それまでぴんぴんとしていたのになんで死んだんだろう。人間ってなんでこんなふうになるんだろう」って彼は話しました。一方、別の調べで、猫などの小動物を殺し始めた時期を確かめたら、祖母を亡くした時期とぴたっと一致したんです。当時、彼自身は二つが関連すると自覚していない。「人間はなぜ死ぬのか」「死とは何か」と考えたことが、小動物を殺す行為につながったと感じました。
■越えた一線
仮に、祖母の死をきっかけに、人の死に強い関心を抱いたとする。では、なぜ小動物を狙ったのか。検事はAの内心をこう推し量る。
そこはやはり「塀」があるわけ。やっちゃいけないという良心だよ。ところが、2月に初めて女の子たちをハンマーでたたいて、たがが外れた。「やれるんだ、人に危害を加えてもいいんだ」と。そこで一線を越えた。
小学6年の女児2人が頭をたたかれ、1人がけがをした2月事件の後、3月に小学4年の山下彩花ちゃん=当時(10)=の頭を金づちで殴って殺害し、小学3年の女児を刺して重傷を負わせた。そして5月、小学6年の土師淳君=同(11)=の絞殺へと至った。
私は、なぜ凶器が事件ごとに違うのかと疑問だった。結局彼はね、どうやったら人は死ぬんだろうと、その方法を考えていたんです。
しかし、この検察側の見立てた動機は、後にAの少年審判で疑問視される。神戸家裁で事件を担当した井垣康弘判事(今年2月に死去)は、著書「少年裁判官ノオト」で「『人間の死とは一体何なのか?』というような『哲学的な疑問』が、この事件の動機であるとは思えなかった」と記した。井垣判事は精神鑑定を行い、少年Aの「心の治療」を理由に医療少年院送致を決定した。(霍見真一郎)
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