「本書は、加害者本人の手で本人の内面を抉(えぐ)り出し、この犯罪が起きた原因について本人自身の言葉で描いたものです」
これは、神戸連続児童殺傷事件で逮捕された「元少年A」が書いた手記を、版元である太田出版(東京都)の岡聡社長(61)が説明した文章の一部だ。
■強い顕示欲
1997年に起きた事件から18年後。2015年、少年Aはすでに関東医療少年院を退院し、30代になっていた。被害者や遺族に断りなく出版した手記は社会に波紋を広げた。
神戸地検で事件の主任検事を務め、Aの「調べ官」だった男性(69)=現在は弁護士=は、彼を取り調べた25年前の時点で、何らかの手記を出すかもしれないと疑っていたという。
文章力はすごいものを持っていたし、顕示欲も強かったから、彼の周囲で事件のことを書かせる人が出てくるのではないかと感じました。そして、彼が書いた場合、遺族や被害者が読んでどう思うのか。それを想像できないだろうとも思いました。手記が出版されたときに、どんな反響があるのかが一番怖かった。
実際、わが子を殺された遺族は強く抗議した。出版を機に、Aから遺族に毎年送られていた手紙も途切れた。社会の反発が予想できたのに、なぜ本を出したのか。訪ねた太田出版で、面会した岡社長は語った。
「ある出版社から話が回ってきたとき、『少年Aが書いたからといって、それだけでは出さない』と回答を保留して原稿を読ませてもらいました。Aの名前だけで出す社もあるかもしれませんが、飛びついたわけではありません。読んでみて出せると思ったんです」
■「元」少年A
岡社長は、現在のAにつながる情報を漏らさぬよう言葉を選びつつ、説明した。手記の奇抜なタイトル「絶歌」も、著者の名を「元少年A」とするのも、本人の希望だった。「実名を出すと、生きていけないだろうと本人は思っていた」とも話した。
岡社長は「どこにでもいた中学生がなぜ、というのが分からないから出そうと思った」と振り返る。手記は結果的に、被害者遺族とAのわずかなつながりも断絶させた。これを問うと「出版後も(接点づくりを)継続的にやっていった方がいいと言ったのですが」と言葉を濁した。
遺族のことを考えるのなら、犯行状況なんか書く必要がない。なぜこの事件を起こしたのか、苦労しながら考えていくことこそが必要と思います。
主任検事は、手記の出版を極めて残念に思っている。Aが事件と向き合わなくなったと危惧している。
今でも本当の意味で内省ができているか疑問に思う。手記を読んだけど、事実と違うところもあるよ。わざとかもしれないけど。どうしても書くのであれば、分からない部分は、分からないと書けばよかった。その方がまだ誠実でした。
(霍見真一郎)
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