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播磨灘に浮かぶ家島諸島。海底を通って水が送られる=たつの市御津町室津から(撮影・大山伸一郎)
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播磨灘に浮かぶ家島諸島。海底を通って水が送られる=たつの市御津町室津から(撮影・大山伸一郎)
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赤穂市から海路で水を運搬していた「水道丸」(姫路市提供)
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赤穂市から海路で水を運搬していた「水道丸」(姫路市提供)
50年以上の耐用年数が要求されるだけに、溶接作業は入念に行われ、作業員も真剣だ=1983(昭和58)年4月8日、飾磨郡(姫路市)家島町沖、油島丸船上
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50年以上の耐用年数が要求されるだけに、溶接作業は入念に行われ、作業員も真剣だ=1983(昭和58)年4月8日、飾磨郡(姫路市)家島町沖、油島丸船上
敷設船上で溶接され、船尾から次々と海底に沈められるパイプ=1983(昭和58)年4月8日、飾磨郡(姫路市)家島沖、油島丸船上
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敷設船上で溶接され、船尾から次々と海底に沈められるパイプ=1983(昭和58)年4月8日、飾磨郡(姫路市)家島沖、油島丸船上

 播磨灘に浮かぶ家島諸島(兵庫県姫路市)へ同県赤穂市から水を届ける海底送水管について、姫路市は老朽化の程度を調べる初めての大規模調査を行っている。赤穂と家島本島を結ぶ管路(13・4キロ)は日本最長とされ、水不足に苦しんできた離島の人々の暮らしを40年近く支えてきた。耐用年数が近づき、2022年度は管路内部の腐食状況を把握する。23年度にも更新基本計画を策定し、島の水道インフラの維持を図る。(田中宏樹)

■かつては船で水を運搬

 送水管は海底から2~3メートルの深さの地中に埋設され、総延長は17・6キロ。本島周辺にもつながり、家島本島-坊勢島は1・2キロ、坊勢島-西島は0・6キロ、家島本島-男鹿島は2・4キロの管路が通る。

 水不足に悩まされてきた家島では1966(昭和41)年、赤穂から購入した水を運ぶ船「水道丸」が就航。最大330トンの水を運搬でき、1日2~3往復して島の生活を支えた。

 旧家島町職員として3年ほど水道丸の運航を担った関谷嘉明さん(77)は「船に島の人の毎日の暮らしがかかっていた。しっかり運ばないとという使命感で、よほど海が荒れない限り船を動かした」と振り返る。

■慢性的な水不足で

 75年には慢性的な水不足を受け、家島本島で海水を淡水化する施設が稼働した。だが、施設を動かす燃料費の高騰や島の人口増、家島周辺でのノリの養殖業の本格化といった要因が重なり、日常的に給水が制限された。

 旧家島町は84年、27億3千万円をかけて家島本島や坊勢島、西島への送水管を整備。水道丸や淡水化施設は役目を終えた。

 水道料金は高額だったが、当時から家島本島で暮らす男性(74)は「時間給水がなくなり、24時間、自由に水が使えるようになって便利になった」と懐かしそうに話す。2000年には家島本島-男鹿島の管路が完成し、送水網は現在の形になった。

■船から探査機、超音波で

 現在、家島本島など送水管がつながる4島には計4400人余りが暮らしている。姫路市によると、これまで送水管の異常は確認されていないが、耐用年数が迫る中で初めて大規模な調査に乗り出した。21年度は船から探査機を使い、海底の地中に管路が適切に埋まっていることを確かめたという。

 22年度は赤穂と家島本島の陸上部で土を掘り起こし、超音波を使って管路内が傷んでいないかどうかを調べる。管路の更新が必要となった場合は、国の交付金の活用も視野に準備を進める予定だ。

 姫路市上下水道事業管理者の段守さんは「海中にある送水管は、不測の事態にすぐ対応するのが難しい。安定供給の維持に向け、早め早めに計画を立てたい」と話している。

姫路西播
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