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特殊なケースに入った川西産イチジク(日本航空提供)
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特殊なケースに入った川西産イチジク(日本航空提供)
川西産イチジクをたっぷりのせたタルト=東京都中央区銀座
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川西産イチジクをたっぷりのせたタルト=東京都中央区銀座

 兵庫県川西市特産のイチジクが地元以外でも存在感を高めている。傷みやすく日持ちしないことから元々は阪神間でしか流通していなかったが、早朝に収穫した果実を空輸することで、その日のうちに約500キロ離れた東京都の店頭にも並ぶように。新鮮な「空飛ぶイチジク」が人気を集める中、新型コロナウイルス禍で旅客が激減している航空業界は、生鮮食品の輸送に力を入れている。(末永陽子)

 東京・銀座の洋菓子店「キルフェボン」グランメゾン銀座店。8月中旬から、チョコレートクリームの上に川西産イチジクをふんだんにのせたタルトが登場した。同店マネジャー根木瞳さんは「柔らかい果肉と濃厚な甘みが特徴。朝一番の飛行機で届くので何より新鮮です」と笑顔を見せた。

 青山店との両店で8月27日まで期間限定販売され、みずみずしい果実が特に女性の人気を集めたという。実際に銀座で購入した会社員の女性(37)は「採れたての味が楽しめるなんて」と目を輝かせた。

 川西市は2016年、「朝採りの恵み」の愛称でブランド化。19年からは日本航空(JAL)からの呼びかけで空輸を始めた。東京での人気を受け、キルフェボンの大阪の店舗でも期間限定で販売されるなど、知名度が広がっている。市担当者は「完熟した一番おいしい状態で収穫するので、本来の甘みを楽しんでもらえる」と胸を張る。

 一方、コロナ禍で苦境が続く航空会社では、生鮮食品の輸送が新たな収益の柱として注目されている。

 数年前から生鮮食品の空輸を始めたJAL。果実にフィットする特殊なトレーに収容することで果実を衝撃から守り、遠方への空輸を実現させた。

 川西産イチジクの件は元々、空港のあるエリアへの地域貢献として提案したが、同社担当者は「旅行客の回復が見通せない中、新しい事業として育てていけたら」と期待する。

 また、JAL子会社のジェイエアと関西エアポートは20年秋から大阪(伊丹)空港で、各地の特産品を販売する催しを始めた。朝に仕入れた生鮮食品をその日のうちに旅客便で運び、到着地で販売している。初回が好評だったため、その後も定期的に開くようになったという。

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