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道の駅ちくさで展示されているツチノコのオブジェ。旧千種町では生け捕りに2億円の賞金が懸けられた=宍粟市千種町
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道の駅ちくさで展示されているツチノコのオブジェ。旧千種町では生け捕りに2億円の賞金が懸けられた=宍粟市千種町
ビロードスズメの幼虫(西畑静男さん提供)
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ビロードスズメの幼虫(西畑静男さん提供)
インドネシアやオーストラリアに生息するアオジタトカゲ(淡路ファームパーク・イングランドの丘提供)
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インドネシアやオーストラリアに生息するアオジタトカゲ(淡路ファームパーク・イングランドの丘提供)
餌を丸のみしたヤマカガシ=2008年7月、小野市内
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餌を丸のみしたヤマカガシ=2008年7月、小野市内
沖縄や奄美群島などに生息するヒメハブ(太田英利研究員提供)
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沖縄や奄美群島などに生息するヒメハブ(太田英利研究員提供)

 兵庫県三木市内で7月、ツチノコのような生き物が見つかった。専門家の研究員に写真を見せて尋ねると、「ビロードスズメ」というガの幼虫だった。世紀の発見には至らなかったが、研究員は「ガの幼虫とツチノコを混同するのは文献で見たことがない。新たな間違い例」という。聞けば、これまでツチノコに関して複数の確認依頼があったが、どれも正体はバラバラだった。かつて自治体が捕獲に賞金を懸けるなど、未確認にもかかわらず有名な生物。いったい、どんな生き物がツチノコに見えたのだろう?(小野萌海)

 爬虫(はちゅう)類や両生類に詳しい兵庫県立人と自然の博物館(三田市)の太田英利主任研究員の元には、ツチノコかどうか確かめてほしいと、写真が送られてきたり、生き物が持ち込まれたりする。

 「ツチノコのミイラでは?」と写真が送られてきた生物は、頭が大きく胴が太かった。死骸は手足がなく、ツチノコと特徴が一致したが、正体は「アオジタトカゲ」というトカゲの一種。四肢が短いため、角度によっては幻の生物にそっくりで、南あわじ市の農業公園「淡路ファームパーク・イングランドの丘」では「ツチノコっぽいトカゲ」として飼育されている。

 「餌をのみ込んで太くなったヤマカガシ」もしばしば間違われる。ナミヘビ科で体長は70~150センチ。毒を持ち、本州から九州まで分布する。これまで豊岡市や朝来市の住民から問い合わせがあったが、いずれもヒキガエルのような大きな個体を丸のみした状態だったという。

 そのほか「栄養状態の良いニホンマムシ」や「ミシシッピアカミミガメのれき死体」という例も。また、沖縄や奄美群島などに生息する「ヒメハブ」も、胴が太くて短く、一時期、「ツチノコの正体ではないか」と取り沙汰された。

 過去の例はヘビやトカゲなど、全て脊椎動物の中の爬虫類だったが、今回、三木市内の民家で見つかったのはガの幼虫。脊椎動物以外の「ツチノコ様生物」の情報は、同博物館では初めてだった。太田研究員は、ビロードスズメの幼虫がヘビのような目玉やうろこ模様を持つ点に触れ、「捕食者である鳥をだますための擬態に、思惑通り人間がだまされた」と解説する。

 実在が定かでない故に、好奇心をかき立てるツチノコ。太田研究員は「人間の想像力はたくましい」と感心する。この先も新たな「ツチノコっぽい○○」が発見されるかもしれない。

三木三田西播
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