神戸ハーバーランド(神戸市中央区)は1日、全面開業から30年となる。これまで百貨店の相次ぐ撤退などで客足が遠のく時期もあったが、近年は若者向け施設の充実で活気が戻りつつある。同市のウオーターフロント開発も追い風となるが、識者は「三宮方面との周遊が課題」とも指摘する。
1992年、旧国鉄湊川貨物駅跡を中心に誕生したハーバーランドは新商業地域として注目を集めたが、西武、阪急両百貨店やダイエーなどの目玉店舗が相次いで閉鎖された。同市のまとめでは、最寄り駅の一つ、高速神戸駅の年間乗車人員は、開業翌年の93年度の約800万人から、2009年度は約484万人までに減った。
しかし13年、関西唯一の施設として「神戸アンパンマンこどもミュージアム&モール」がオープン。年間約60~70万人を集める人気施設となり、沿道にはキャラクターのイラストや石像が並んだ。高速神戸駅の乗車人員も増加に転じ、19年度は600万人弱に回復した。
同市が三宮を中心に進める再開発事業も追い風だ。市都心再整備本部の担当者は「コンパクトなまちに多くの施設が集積し、景観も良い」とし、三宮との結節を強めて相乗効果を見込もうと前向きな姿勢を示す。
一方、識者からは厳しい見方も。神戸大学特命講師の小代薫さん(都市史)は「多くの店が集まっていても、三宮を訪れた人がその足で訪れるかは疑問。各事業者が『神戸全体を盛り上げる』という共通の価値観を持たなければ、ピンポイントのにぎわいだけで終わるのではないか」とする。
関西経済に詳しいりそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「三宮再整備は追い風」とした上で、「インフレやコロナで人々の財布のひもは固くなっている。ハーバーランドの面的な魅力を底上げした上で、三宮とどう連携していくのか、人々の動線の見極めが重要になるだろう」と話した。(安福直剛)
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